2015年11月17日火曜日

プライマリ・ケア連合学会 秋季セミナーに参加してきました!パート1

プライマリ・ケア連合学会 秋季セミナーに参加してきました!


2015.11.12 すすめブログ 投稿

プライマリ・ケア連合学会 秋季セミナーに参加してきました!

東京ベイGIMコラボレーションススメ家庭医の中山由梨です。
1189日は大阪で行なわれたプライマリ・ケア連合学会の秋季生涯教育セミナーに参加してきました。
このセミナーは自分にとって、新たな友好関係や気づきが多く、すごく貴重な経験となりました。

セミナー内容について、共有いたします。
セッション1:総合診療9の謎 飯塚病院の清田先生のご講演に参加しました。
印象に残った項目について、私の意見も交えながら、まとめます。
  Osler3原則:①患者はどのような問題でやってきているのか?②それに対して何ができるのか?処方は本当に答えか?③そうした場合に、患者のこれからの人生はどうなるのか?
→患者さんの診療に求めるゴールは何か?という心の本音を描出してあげることが大事だと思いました。処方がほしいのではなく、心配な気持ちをただただ聴いてほしい、やアドバイスがほしいだけなど、患者さんの求める内容は個々に違うことがあります。求めているものを敏感にキャッチできると心の通ったコミュニケーションができるのだろうと感じます。

  偽性高K血症
→この原因には、検体を長期放置、採血針が細く溶血、などの理由は知られていますが、「採血時に拳を握る機械的圧力によってKが漏出する」こともあります。「採血時には駆血帯を巻いたあとは拳をリラックスして開いたままにしていてもらう」といった採血時の注意点をナースさんにもお伝えすることが大事です。

  65歳以上の貧血欠乏性貧血(特にHbg/dl以下)において、10人に1人は消化器悪性腫瘍である。
→検診(例えば便潜血陽性)でがんが見つかる頻度は1000人に数名であるが、高齢者で鉄欠乏性貧血を伴っている場合は上記。高齢者、男性、貧血は消化器悪性腫瘍の有意なリスクファクター(Eur Gastroenterol Hepatol;2005 Nov;17):積極的に内視鏡精査を!
  BPSDbehavioral and psychological symptoms of dementia行動心理学的症状)の初期マネジメントについて
→①Beers criteria:薬剤や身体的な不調が原因であるならまず除外
 ②Lewy小体型認知症がベースにないかどうか確認
*Beers criteria : American Geriatrics Society
American Geriatrics Society 2015 Updated Beers Criteria for Potentially Inappropriate Medication Use in Older Adults

高齢者の薬の処方の注意点や相互作用、不適切や不必要な処方になっていないか。
例えば、高齢者に抗コリン薬や抗精神病薬、ベンゾジアゼピンは使用を控えるべきとの記載。
抗コリン薬は認知機能低下のリスクあり、抗精神病薬やベンゾは転倒ふらつきのリスクになるため。

  OCD (obsessive-compulsive disorder)強迫性障害は、診断できていないだけで、意外に多く存在している。
→強迫性障害は、DSM-4では不安障害の分類であったが、DSM-5で「強迫と関連疾患」という新分類に移行。
不安や恐怖以外の感情をもつ人も少なくないため、不安障害のカテゴリーから外れ、新たに分類された。
症状としては:神経分布に一致しない痛みや感覚異常、慢性腰痛症、他覚的異常がないめまい(恐怖性姿勢めまい)など


日常診療で疑問に思っていつつも、何気なくスルーしてしまっていた内容についてevidenceを交えながら、ご講演くださいました。
日常診療の謎を解くキーポイントを学べた気がします!早速、臨床で活かし、後輩へのteaching時にも活用させていただいています。

「総合診療999の謎」購入しました!

付随する写真は、前タームのチームメンバーです。飯塚病院からベイに転勤された宮崎先生がアテンディングとしてサポートくださり、チームを運営しています。日々めまぐるしく忙しいですが、充実して過ごしています〜〜(*^^*)


セッション2についても記載予定です!乞うご期待!!


2015年11月13日金曜日

サイトビジット:六ヶ所村地域家庭医療センター

プログラム責任者の井上です。
9日に六ヶ所村地域家庭医療センターにサイトビジットに行ってきました。
S2の井上博人先生(10月5日にこのブログに研修について書き込んでいただいています)が現在研修中です。

六ヶ所村は下北半島の付け根のあたりです。今回私は八戸からレンタカーを借りて行くことにしました。なぜか私が下北半島に来ると天気が悪いんです。昨年来た時は、雪が降って大変でした。
今回も残念ながら雨・・・。
八戸からは一時間20分ほどで到着しました。

昨年新しい施設になったばかりの2階建の有床診療所で、老健ニッコウキスゲが併設しています。
電子カルテシステムは協会標準電子カルテで、湯沢町保健医療センターのものと同じです。よその施設でも同じ電子カルテだとすぐに診療に入れるな〜と思いました。
六ヶ所では、診療が終わってからレントゲンや心電図などの画像読影を研修医、スタッフで読影をします。非常に詳しく読影がされていて、毎回ご一緒させていただくと自分の知識のなさが恥ずかしくなるほどです。ここで研修された研修医の皆さんは相当レベルアップするなあと指導医の松岡先生と船越先生の指導に頭が下がります。
訪問診療や産業医活動(六ヶ所村には原子力関連の企業があります)、保健活動との協力などもあり、総合診療医の研修にはもってこいのところだと思います。
海の幸、そして特産の長芋から作られる「六趣」という大変美味しい焼酎などもあり、研修外も充実しています。
同じ下北半島の東通村診療所の研修医宿舎も非常に素晴らしいですが、六ヶ所の施設も負けないぐらい素晴らしいと思います。

興味のある方は是非一度見学に行かれると良いと思います。
次に行く時は晴れた日に行けますように・・・。





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2015年11月8日日曜日

サイトビジットではないですが・・・・・

プログラム責任者の井上です。

 ここのところサイトビジットに出かけることが多い(実は明日六ヶ所村に行きます)のですが、今まで行ってないところはどこかな・・・と考えておりました。
専攻医がいるのに、サイトビジットに現段階でいく可能性が全くない施設を思いつきましたので、本日はその施設の紹介をさせていただきます。

 その施設とは、自分の勤めている湯沢町保健医療センターです。
  湯沢町保健医療センターは新潟県の南の端っこ、群馬県との境にある湯沢町にあります。秋田県にも湯沢市というところがありますが、そこではありません。
 東京から上越新幹線で約90分。スキーと温泉で有名な山間の小さな町です。今は紅葉が終わろうとしております。山の上の方は白くなったという話があり、もうすぐ雪の季節が始まります。

 病院は上越新幹線越後湯沢駅から徒歩8分。新幹線の 駅からこんなに近い医療機関は早々無いと思います。駅では毎年行われる菊花展が行われています。町民の方で菊を作っておられる方達の展示がされています。私の外来に来られている患者さんの菊もありました。

 一般病床40床、療養病床50床の小さな病院です。 観光地にあるために救急患者も多く、一次から心肺停止患者さんまで運ばれてきます。訪問診療、訪問看護、訪問リハビリも行っており、病院の隣にある総合福祉センター内の社会福祉協議会のケアマネさんや湯沢町健康福祉課の保健師さん達と連携をとりながら日々の業務を行っています。

 現在専攻医はシニア1年目の葉田先生が研修中です。初期研修医や医学生もきます。昨年までチーフレジデントをしていた高橋先生のおられるゆきあかり診療所(車で12分と近いです)とも協力しながら、日々にぎやかにやっています。
 秋は新米の美味しい季節ですし、もうすぐすると新米で作られた日本酒も出てきます。新潟県の美味しい日本酒、温泉、スキーを楽しみながら研修をしてみたい人は是非お越しください。お待ちしております。


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