2016年2月26日金曜日

サイトビジット:西吾妻福祉病院

プログラム責任者の井上です。

引き続き、今月サイトビジットに伺った2カ所目の施設、西吾妻福祉病院です。
S1の小林先生が研修中です。
今回は8日にサイトビジット、23〜24日と外来診療支援に伺いました。
8日は、初めて専攻医の先生のシャドウイングという感じで、一日中後ろで診療を見るということをやってみました。外来診療、病棟回診、病棟での患者さん家族への説明などを見せてもらいました。

29年度から始まる総合診療医における新専門医制度では、外来での診療評価なども必要になると言われています。じっと見ているとか、ビデオやMini-CEXを使う評価をするとなるとどのようにするか?などをイメージしながら小林先生の外来診療を見せてもらいました。小林先生後ろからじーっと見られていて、プレッシャーを感じて疲れたでしょうね。すみませんでした。

23〜24日はサイトビジットよりも診療支援がメインでした。異なる施設の電子カルテだとなかなか慣れるのが難しいですが、なんとかなりました。
普段湯沢で接する患者さんとちょっと地域性が変わると同じところもあるけど、違うところもあるんだななどと思いながら診療を行っていました。また施設が変わると外来のシステムも当然少し違っていたりしますので、 湯沢と比べて工夫できるところがないかなと思ったりもしていました。

なかなか時間が取れないのですが、時間をとって、できるだけ専攻医の先生たちの診療の現場を見ることは必要だなと感じたサイトビジットでした。


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サイトビジット:市立恵那病院

プログラム責任者の井上です。

今月は2つの施設にサイトビジットに伺いました。

一ヶ所は市立恵那病院です。現在S2の新多先生が研修中です。
恵那に伺うのは一年ちょっとぶりでした。今回は東海道周りではなく、高崎→長野→恵那という中央線ルートで伺ってみました。時間は東海道周りとそう変わらないんだなあと思いました。
実は今まで恵那に伺った時は、なぜか必ず日が落ちてからだったので、今回初めて明るいうちに訪問できました。付近には、「2027年リニア開通」という看板もありました。10年ちょっとすると恵那にリニアの駅ができるそうです。そうすると東京から一時間ぐらいでしょうか?東京から通勤できる岐阜の病院なんてことになるのでしょうか??

病院も初めて見ることができ、「こんな病院だったんだ〜」と思った次第です。
市立恵那病院正面から
ちょっと右を見てみると大きなクレーンがあり、新しい病院を建設中でした。1月10日付で新多先生が投稿されておられますが、さらに工事は進んでいました。
新病院は4階建になるとのことで今年の11月から新病院での診療が始まるとのことです。
大きなクレーンで新病院建築中!
 外来も見せていただいたのですが、月曜日とのこともあり、非常に混み合っていました。
地域との連携をより一層強めていきたいとのこと、ススメの研修病院としてもこれからますますいろいろな面でお願いすることになりそうです。来年度は早速3名の専攻医の先生が研修される予定です。
また報告していただけると思います。お楽しみに!

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2016年2月21日日曜日

プライマリーケア学会 若手医師セミナー WS 『メンター』を終えて 


プライマリーケア学会 若手医師セミナー WS 『メンター』を終えて

東京ベイ浦安市川医療センター 総合内科の中山由梨です。
本日は東京大学で行われたプライマリーケア学会 若手医師セミナーにてWSを出させていただきました。

★『メンター』の内容などについては、実況中継!のブログもご参照ください^^

私は5年目医師のメンターとしての役割やジレンマなど、生の声として発表させていただきました。
参加者の方も共感してくださり、声がとどき、参加者のみなさんと繋がっている一体感を感じられたことが、とても嬉しかったです。

東京都立多摩総合医療センターの綿貫聡先生から、WSの後にとても素敵な言葉をいただきました。
・後輩は多面体である
・後輩は自分のもっていない優れた能力を持っているもの前提として接する→その能力を見つけてあげるというスタンスであれば、人のいいところばかり見えてくる

すごく心に響いたメッセージでしたので共有させていただきます*^^*

いい出会い、いいマインド、いい経験ができました。

よかったこと
・太田先生のスライドとトークがわかりやすかったです。スライドの構成も実はメンタリングを振り返るサイクルで作成していたというからくりがおもしろかった!
・廣田先生のグループワークの参加者の引き込みがお上手でした。参加者からのコメント・気持ちを『ダイヤの原石』と表現されていた点は、とても素敵だと思います。今後いただきます!
・参加者の方が盛り上がってくださいました。ディスカッションが白熱しており、最後まで暖かい雰囲
気で終了してよかったです。

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プライマリーケア学会 若手医師セミナー WS 『メンター』 実況中継

プライマリーケア学会 若手医師セミナー WS 『メンター』 実況中継


東京ベイ浦安市川医療センター総合内科 中山由梨です。
本日2月21日、東京大学でプライマリーケア学会 若手医師セミナーが開催されています。
去年は、私は一受講者でしたが、今年は、セミナーWSを提供する講師として参加させていだくことになりました。
講師陣:太田浩先生(川崎市立多摩病院)、廣田俊夫先生(関市国民健康保険津保川診療所)、西村正大先生(市立奈良病院)、三浦太郎先生(富山大学医学部プライマリ・ケア講座)、中山由梨(東京ベイ浦安市川医療センター総合内科)

★『メンター』WSを開催するにあたっての動機
地域医療のすすめの先生たちの特徴として、仲間を大事にするというマインドが根付いていると思います。
私にとって、『すすめ』の先生たちとの関係は、指導医と後輩医という関係よりも、生活・人生も含め、人生としてのサポーター・先輩という感覚でいます。
それもあって、『メンター』という制度をより大事にしているすすめファミリーとして、
今回『メンター』のWSを出させていただくこととなりました!

このWSを開催するまでに、
講師陣の先生たちで何度もTV会議を開き、内容を練り直してきました。
(私はあまり参加できませんでしたが・・・すみません)
太田先生との会議では、私の意見も、WS受講者と同世代とのことで、積極的に取り入れてくださりました。まず、受け入れてくださるというスタンス、そしてそれを上手に活用してくださった点、後輩としてとても心地よかったです。

そうやってみんなであたためて作ったWS。
ただいま、開催中です!!

本日の暖かな気候と同様に、あたたかく和やかな雰囲気で進んでいます(@^^@)
みなさんのグループワーク、盛り上がっています!


また、終了後に、報告・振り返り・つぶやきブログを更新しますね。
乞うご期待!笑



2016年2月16日火曜日

本文

新生児に触れて


東京北医療センター専攻医1年目の山田恵梨子です。現在は前回記載してくれている児玉先生と同様に当院の小児科ローテートを行っています。東京北の小児科はチーム制で、現在私は新生児チームにいます。東京北では帝王切開にて出生した患者は1度小児科入院となることが決まっているため、比較的多くの赤ちゃんを見ることができます。

初期研修の病院では小児科とNICUが完全に分かれており、新生児と触れ合う機会はあまりなかったため小児科にいながら新生児について学ぶことができるのはとても素晴らしいと感じます。

新生児を扱って改めて思ったのは、新生児がとても繊細であるということ。新生児に触れる前に(特に治療中は)手洗いし、手袋着用が原則。毎日気にするのは数十グラムの体重の増えとおっぱいの飲みは昨日よりどれくらい増えているか。点滴量もかなり細かい内容で調整を行い、過剰な水分負荷は心臓等重要臓器に影響を及ぼす可能性があると聞くと何度も計算機で計算し直したりします。

そんな新生児室はとても強い愛情が部屋の中に詰め込まれていて、いるだけで幸せな気分になります。そんな空間ではお母さんだけでなく医師や看護師達も母性や愛情をもって医療を行わざるおえません。つまりは、赤ちゃんの可愛さには完敗!全身全霊で治療に励もうとするだけでなく、プラス愛情0円で毎日診察するのです。

こんな環境だからこそ、新生児室にいた子供達が歩いて小児科に会いに来てくれたらこの上ない喜びだと思います。そんなことを考えながら、また地域で子供達を見るのがまた楽しみになるのでした。


山田 恵梨子


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2016年2月14日日曜日

東京北医療センター 小児科研修 入院という避難所

こんにちは。専攻医1年目の児玉です。現在東京北医療センターの小児科で研修中です。

業務内容は10月の呉先生の投稿を参照いただければと思います。
初期研修でもお世話になった東京北医療センターの小児科ですが、当時は研修はじまって間もなく、内科的知識もほとんどない中だったので、初期研修で取りこぼしていたこと、忘れてしまっていることを拾い集める日々です。また、午前中の業務をできるだけ早く終えて初診外来を診させていただくことができています。外来も経験することにより、入院適応を考えたり、退院後のフォローをしたりと、外来と病棟を連続性をもって診ることができています。

さて、最近印象に残った患者さんを一人紹介させていただきます。
食欲不振を主訴に、水も飲めなくなったため入院した小学校低学年の女の子でした。内科的精査後に、友人関係のトラブルを原因とする摂食障害と診断されました。飲水も食事も少しずつできてきたので1週間程度で退院できました。
 彼女は大きな大会で優勝するくらいスポーツに打ち込んでいて、「大人びた真面目な少女」という印象でした。入院当初は「本当に入院したらかえって学校に行けなくなってしまうんではないか」「精査目的なのに胃カメラもしないのは入院した意味がないのでは?」などと疑問を感じていましたが、彼女にしてみれば食べられないことは両親や学校の先生に対する無意識の心のSOSだったのだと思います。退院の時には病院にも慣れて、病院の環境や関わってくださった心理士さんが彼女の心の避難所の役割を果たしたように思えました。
SOSに対して学校、家族、病院、全てが応えてくれた。今までわがままもあまり言わなかった彼女のわがままに周囲がサポートしてくれたことで、「1人じゃない、大丈夫」という彼女にとっての自身が生まれたように思います。入院することがADLや認知機能を下げることは高齢者でよく経験することでしたが、入院という非日常が、根本的な解決、治療につながったのは新鮮な経験でした。社会的な問題を抱える患者さんの環境を変えることは、小児だけではなくて高齢者の入院や施設入所でもメリットになることはありそうで、今後はそういった視点でも患者さんを見ることが大切と感じました。

なお、東京北の小児科は現在NICU増設に向けて工事中で、順調なら4月からオープン予定です。今まで以上に幅広い小児科研修が可能になりそうです。

4月からは井上先生のお膝元、湯沢町保健医療センターで研修を予定しています。3年間自分が身につけてきたものがどのくらい通用するのか、何が足りないのか、いよいよ実践できることを楽しみにするこのごろです。

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東京北医療センター 小児科外来

2016年2月11日木曜日

論文



専攻医1年目、西吾妻福祉病院で総合診療研修中の小林聡史と申します。
先日プログラム責任者の井上先生にサイトビジットでお越しいただきました。
外来の様子を見てもらったフィードバックなど、非常に勉強になりました。
井上先生ありがとうございました。

さて、今回の投稿は論文を2つご紹介いたします。
私が一人で読んだものなので、結果の解釈に不十分な点があるかもしれませんご容赦ください。


①JT wright, et al, A Randomized Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control, N Engl J Med. 2015; 373:2103-2116

高齢者も含め比較的心血管リスクが高い人に対して、降圧目標をどの程度にすればいいかを検討したスタディです。

P 50歳以上でSBP130-180の方のうち、糖尿病・脳梗塞以外の心血管リスクがある人
*糖尿病・脳梗塞以外の心血管リスクとして、以下の1つ以上を満たすことが挙げられています。臨床的または無症状な心臓血管疾患
慢性腎臓病(多発性嚢胞腎以外で、eGFR20-60)
Framingham risk scoreで心血管10年リスクが15%以上
75歳以上

E SBP<120を目標とする群(Intensive treatment) 
C SBP<140(130-139)を目標とする群(Standard treatment)
O primary:心筋梗塞、ほかのACS、脳梗塞、心不全、心血管死の結合アウトカム
  secondary:個々のアウトカム、全死亡、primary+全死亡の結合アウトカム

・ランダム割り付けされている。割り付け方法はわかりませんでした。
・Baselineはおおむね同等:平均67.9歳、75歳以上が28.2%
・ITT解析されている
・追跡率89.4%、追跡期間は平均3.26年
(5年間の目標だったが思ったより差が出たため早めに打ち切りとなった)
・マスキングはなし
・サンプルサイズは十分

結果は以下です。

Primary outcomeは有意にIntensive treatment群で減少しています。
(計算すると、NNTは62.5でした)
Secondary outcomeで有意差があるのは心不全、心血管死、全死亡、Primary outcomeまたは死亡の4項目です。

高齢者であっても、Intensive treatment群のほうが予後を改善するという結論になっています。

この論文の適用に当たり注意すべきこととしては、
・副作用としてAKI、低血圧、電解質異常(低Na、低K)が多いこと
・介護を必要とする高齢者は含まれていないこと
・長期間使用での腎機能への影響は不明であること
・糖尿病や脳卒中の既往がある方は含まれていないこと
・Intensive treatment群では降圧薬の使用量が多い(Intensive treatmentは平均3剤、Standard treatment群は平均1.9剤)ため、アドヒアランスの低下が起こりうること
・拡張期血圧の目標値に関しては記載がないこと
などが挙げられるでしょうか。

JNC8で60歳以上は降圧目標を150/90にするといったことが言われていたので、この論文をどう臨床に応用するかは難しいところかと思います。
SBP120を目標にするのは大変かなと思い、間をとって130/80くらいを目標にしようかな などと考えています。
このStudyの結果を皆さんはどのように適用されるのか、ご意見を是非伺いたいです。

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②Yang, Jeng-How et al, Predictive symptoms and signs of laboratory-confirmed influenza, Medicine. 2015 Nov;94(44):e1952.

成人のインフルエンザ患者の、問診や迅速検査の診断精度に関して検討したスタディです。

P:台湾の2つの都市部で、インフルエンザの流行期に18歳以上の成人で上気道症状を呈して外来クリニックを訪れた人
(上気道症状:発熱、咳、寒気、頭痛、倦怠感、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、筋肉痛の1つ以上)
平均33歳、基礎疾患を持つ人の割合も10%程度

E:各症状や問診(統一された質問票)、RIDT(迅速抗原検査)
C:RT-PCR(リアルタイムPCR)and or 培養
O:インフルエンザ診断の精度

・Reference standardとしてPCRや培養は適切と思われます。
・ExposureとComparisonは互いに独立して評価されています。
・Exposure、Comparisonともに再現性も問題ないと思われます。

Reference standardと問診は全員に実施されています。

迅速検査は実施されていない人もいます(臨床判断でするかしないかを決定した?)


結果は以下です。


発熱、咳と、咽頭痛、くしゃみ、soreness(痛み、苦痛といった意味のようですが、どこの痛みのことなんでしょう?)などの組み合わせが有用なようです。
私個人としてはインフルエンザの人がくしゃみをしてるイメージはあまりないんですが、皆さんどう思われるでしょうか。

咳のNLRが0.1(0.02-0.42)であり、咳がない場合には可能性はかなり下がるようです。

迅速検査(RIDT)も陽性・陰性尤度比ともにそれなりに有用なようですが、前述のとおり全員に実施されているわけではないので、選択バイアスの問題で過大評価されている可能性はあるかもしれません。



2つの論文を紹介しましたが、ご意見ご感想などあれば是非お願いいたします。


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