2020年10月20日火曜日

WEBで研修体験企画「研修医日記」(月間地域医学2019年7月号より)










こんにちは.専攻医3年目の羽角勇紀と申します.所属は東京北医療センターで,現在は2019年4月から青森県の東通村診療所で総合診療Ⅰ研修をしています.

もともと山形県の出身で,小さいころは秋田,仙台,福島と住み,山形に戻り大学は福島,初期研修は山形に戻り……とずっと東北をウロウロしており,生粋の東北人です.後期研修を選ぶ時,人生で一度は,と東京に出てきたところですが,結局地域研修は東北地方でしており,逃れられないようです.

さて,原稿作成時まだ5月なので折り返しにも到達していない段階ではありますが,現時点での研修について書きたいと思います.
東通村診療所は青森県下北半島にある19床の有床診療所です.
外来は基本的には内科外来,他に1週間に1度の整形外科外来を設けていますが,実際は境界が明瞭にあるわけではなく,内科外来においても肩痛や腰痛など整形領域の相談もあります.ほかに,少ないながら小児の患者さんもいらっしゃいますが,実際はほとんど高齢者の方が多いです.朝の受付は争奪戦で,7時前から待っていたりして,当直明けに寝ぼけた姿で院内を歩いているとびっくりすることも.いろいろな集落から集まってくるので,診療所への来院方法も,自家用車もあればバスで集落ごとにまとまって来院したり,私にとっては新鮮です.帰りのバスに間に合わない,とせかされることも(笑).
常時10数人の方が入院していて,あくまで診療所なので設備という点では病院には劣りますが,肺炎,心不全,脳梗塞,糖尿病,間質性肺炎,胃潰瘍出血,リウマチ性多発筋痛症……など,コモンディジーズを中心にバラエティに富んでいます.どうしても外来が中心になるので病棟業務に割くことができる時間は少ないですが,「診療所=外来」というイメージがある前提から考えれば,事前に考えていたより意外と経験できると感じています.
医師住宅に住んでます.診療所から走れば1分
説明を追加医師住宅に住んでます.診療所から走れば1分








訪問診療は週で20数件あり,初期研修以来初めての経験です.まず,本当にいろいろな家
があるなぁと,医師としてというより個人的に興味深い印象を受けることも多いです.多世代住宅で豪華な家,老々介護で日々の生活でさえ大変そうだと感じる家,犬や猫がたくさん出迎えてくれる家,床がなぜか粘着質な家…….普段,病院で勤務していると見えない,「退院後の生活」に触れることができます.改めて感じることは,医師だけでは何も上手くいかず,訪問看護,訪問薬剤指導,包括,そして家族の協力なくしてはなさないということです.急性期病院にいると入院日数短縮のために,得てして退院を急がすことになりがち(もちろんこれはこれで重要)ですが,そういった点である程度ゆとりがあるのは診療所の良いところです.
ほかに,隣接している老健の回診や学校健診,予防接種なども行っています.
診療所に来て,特に素晴らしいと感じたのは,週に1回開催されている包括カンファレン
スです.診療所医師,看護師,訪問・老健・地域包括・居宅・リハビリスタッフ,薬局薬剤師が一同に会して,それぞれがそれぞれの持ち場,視点から患者さんの情報共有を行います.「〇〇さんが……」との名前だけで話が通じており,まだ2ヵ月弱しかいない自分では話についていけていません.プライマリケアの5つの理念を大切に実践している診療所での研修はこれからも学ぶ点がたくさんありそうです.
こどもの保育園入園式も参加できました〔近くにありいつでも入園可能(多分)〕.



残り4ヵ月間,充実した研修を送りたいと思います.休みの日の観光も.
月刊地域医学の購読はこちら>>

総合診療専門研修ブログラム「地域医療のススメ」はこちらから >>