2020年8月14日金曜日

WEBで研修体験企画「研修医日記」(月間地域医学2019年6月号より)

病院見学など直接現場に出向く機会が少なくなってしまった中、少しでも研修の雰囲気を感じて貰えれば、という思いから、WEBで研修体感企画として「研修医日記」の掲載を致します。地域医療振興協会が発行する情報誌、「月刊地域医学」のバックナンバーより、不定期に投稿致します。(※掲載の情報などは当時のものとなっております)

2019年度で東京ベイ・浦安市川医療センターの総合内科プログラム3年目かつ「地域医療のススメ」プログラム2年目になりました.去年の5月から「地域医療のススメ」プログラムも並行して所属しています.新専門医制度が始まって2年たち,「総合診療科」は「内科」とは別個の専門科として位置付けられました.私が初期研修を終えて後期研修先を決める時は「新専門医制度が始まる」と言われ,新制度の研修について説明会がそこここでされながらも結局延期されたのでした.

「よきかかりつけ医」「身近で頼れるお医者さん」を夢みる私は総合診療科を専攻しようと思っていましたが,内科の経験を積んでおきたくて東京ベイの総合内科で後期研修を始めました.3年間の内科プログラムの2年目の4月の面談で,「家庭医療,総合診療の道を進むつもりなら今から総合内科研修しながら『地域医療のススメ』プログラムとかけもちすればよい」とご提案いただき,あれよあれよという間にススメプログラムにも所属することになりました.基本的には総合内科研修を遂行中で,ススメの総合診療専門研修プログラムのうちで病棟診療の6ヵ月を総合研修期間として数えてもらっています.

東京ベイの総合内科プログラムでは3ヵ月ごとに内科と他の科をローテートします.年間6ヵ月間を内科,3ヵ月間を地域研修(市立大村市民病院,県立志摩病院,伊東市民病院,西吾妻福祉病院のいずれか),残りの3ヵ月間は学年によって各科(循環器内科,消化器内科,腎臓内分泌糖尿病内科,集中治療科,救急科,etc. )が組み合わされて研修します.地域研修として派遣された病院では,内科医として病棟,外来,救急診療を担います.私は大村市民病院と伊東市民病院に行きました.大村はうまい魚と嬉野温泉が,伊東は毎日入れる温泉と多種多様な症状の方が来る救急外来が印象的でした.どちらも3ヵ月だけなのに病院の皆さんのおかげで愛着が深まりました.
ススメプログラムに所属してから,ススメの合同ミーティングやテレビ会議にも参加させてもらったり,ポートフォリオを細々と作ったりしています.臨床倫理4分割表であるとか,外来診療とか,内科と総合診療で共通な部分もありますが,BPSモデルとか行動変容とかヘルスプロモーションといった分野は総合診療ならではの考え方でとても勉強になります.













「なんで内科に来ちゃったの?」と反語的に訊かれることが少なからずありますが,私は総合内科で研修して良かったと思っています.東京ベイの内科では内科部長の平岡栄治先生から良き医師の6 competencies(P a t i e n t c a r e / M e d i c a l k n o w l e d g e / P r o f e s i o n a l i s m / I n t e r p e r s o n a l a n d Communication Skills / Practice-Based Learning and Improvement / System based practice)を叩き込まれます.総合診療派の先生の中には「内科は病める人でなく疾患をみる」と思っている先生がいるような気がしますが,医学的な要素だけでは良い診療にならないと教わっています.総合内科も総合診療も,違うのは診療する場の違いであって,患
者さんのために一番良いゴールを目指して治療するのは変わりないと,当然のことながら感じています.
初期研修病院のハートの熱いMSWが「各スタッフが専門性を発揮して連携をとるのがチーム医療であり,さらにお互いを助けあって患者さんを支えられるのが“理想的な”チーム医療だ」と言っていました.医師としての専門性を高めていくために,皆さんから刺激を受けながらimprovementしていきたいと思います.これからもよろしくお願いします.

月刊地域医学の購読はこちら>>

総合診療専門研修ブログラム「地域医療のススメ」はこちらから >>