2020年11月5日木曜日

地域医療のススメ 短期地域医療研修(小櫃診療所)レポート

10月に専門研修プログラム「地域医療のススメ」にて実施した、専攻医1年目が対象の短期地域医療研修から早速レポートを頂きました。
実際に現場へ赴いて体験された、生の報告をご覧頂ければ幸いです。

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初めまして、専攻医1年目の吉村 翼と申します。東京北医療センターにて総合診療科をローテート中ですが、初期研修をJADECOM外にて行った専攻医には、JADECOM内の診療所にて1週間地域研修を体験するという機会があり、今回研修に参加させて頂きました。

研修先は千葉県君津市の地域医療を支えている小櫃診療所です。君津市は房総半島のやや南部に位置し、東京湾アクアラインの千葉県側の玄関である木更津市のすぐ南に隣接する市です。

千葉県君津市。チーバくんのおへそあたりです。


小櫃地区は君津市の中でも南部に位置し、市の中心部までは20分程度、アクアライン利用で都心へも1時間程度と、実はアクセスも良好な土地です。地域研修で地方へ行かなくてはいけないけど、家族の事情もあって出来るだけ都心に近いところで研修を…なんて方にもおすすめです!(残念ながら、現在は総合診療Ⅰの該当施設ではありませんが、今後そこを目指していくとのことです)
近隣にはスーパーやドラッグストアもあり、意外と生活には困りません。

診療所の前の道路より。地域はどこもこんな感じと言えばこんな感じですね。


診療所は、元病院であった建物の1階部分を利用しています。研修は私が施設史上初めてとのことで、1週間と短期だったこともあり、取り急ぎ院内の休憩室に泊まらせて頂きましたが、元病院だったということもあり、夜には天然のお化け屋敷へと変貌を遂げておりました…笑
医師2人、看護師3人、事務3人で日常診療を行っています。地域の診療所ではどこも同様かもしれませんが、皆さんとても優しく、至れり尽くせりな状況で雰囲気よく研修させて頂きました。患者さんとも距離感が近く、特に古参の看護師さんはほとんどの方と顔見知りで、笑って冗談を言い合っており、和やかな空気を実感しました。

診療所の外観。元病院ですが、2階は現在使用されていません。


小櫃診療所は、2020年度より協会に加入した診療所です。前年度は週3回のみ開いていたとのことで、今年度開始地点での患者さんは少なかったですが、徐々に増えてきており、現在1日あたり30-40人程度といったところでしょうか。基本的には外来診療を行いつつ、1コマだけ訪問診療が入っているという状況です。

1週間と非常に短い期間ですし、コンセプトも「JADECOM内での地域医療を研修してくる」というものでしたので、基本的に見学メインで研修させて頂きましたが、他の先生の外来見学というのは学生実習以来であり、非常に新鮮でした。東京北では予約外来も担当しておりますが、初期研修自体には全く経験しなかったということもあり、どのように予約外来を進めていけばよいのかのイメージがはっきり無いままに、ずるずると今に至っていました。
ここで一つのロールモデルを目にしたような気持ちであり、東京北に戻ってからも、隙間を見つけて他の先生方の外来見学を行いたいなと思っています。

待合室


研修を経て、一つでは言い表せないぐらい色々なことを感じました。標榜は内科であっても、小児科や皮膚科等にまで対応する幅広さが求められること、病院は治療がメインになりますが、診療所は予防がメインになるということ、予防接種やがん検診を間隔なども含めてどの程度勧めていくべきかということ、高齢運転の必要性、隣人を診療所へ送っていくなどの地域住民同士の助け合い、15km離れた病院へ受診するのは特別でないということ、今なお職業において中心を占める第一次産業 (だからこそ自宅での介護が可能なケースも多いのでしょうか)、管理者としての診療所の運営や、(JADECOMに所属していれば本部が設定してくれるのであまり考える必要はありませんが)職員への福利厚生…… その他にも、これまでの診療では触れたことの無いような、考えたことの無いような、様々な事象に触れることが出来ました。

1週間と短い期間ではありましたが、小櫃診療所のみなさま、貴重な研修をさせていただきまして、誠にありがとうございました!


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