2012年12月31日月曜日

リハビリテーション研修のすすめ

シニア3年目の横田です。
11~12月に台東区立台東病院でリハビリテーション科の研修を行いましたので報告します。

研修の内容はざっと以下の内容です。
・病棟業務:回復期リハビリ病棟(おもに在宅復帰を目指す患者さん)
        指導医とともに8~10名程度の患者の回診、リハビリの見学、カルテ記載
・カンファレンス:受け持ち患者さんについてリハビリ、看護・介護スタッフ、医療相談員(MSW)
          とともに治療方針や今後の見通しを検討する(週1回)
・判定会議:回復期リハビリ病棟に紹介されてくる患者さんの診療情報から入院の可否を判定する  
        (週2回)
・家族面談:入院前(現状の確認と予後説明)、中間面談(入院約1か月後経過と退院目標の設  
        定)、退院前面談(自宅での注意点、今後の通院方針など)そのほか必要時に行う。
・外来見学:身体障害判定資料の作成、装具、退院後のフォロー患者さんなど
・嚥下造影検査:嚥下性肺炎の患者さんの食事形態の検討など。
・家屋調査:退院が近づいた患者さんの居宅を訪問して、実際の家の中を拝見し、家屋改修の要
        否や実際の家の中での患者さんの動きなどを見ます。


 研修を終えた今、家庭医あるいは総合診療医として一つ大きな武器を手に入れたという感じです。それは患者さんの疾患はもちろんですが、元の生活(どのような人生を歩んできたか、家族とその関係、住所と住居環境、病気になる前のADL/IADL)を知ったうえで、その人が地域の中でどのように今後の人生を歩んでいくのかを考えることができたからです。今までは「病院から退院できた!」ということがゴールだったのですが、実は退院は患者さんにとっては一つの通過点に過ぎず、そこから長い生活が待っているのです。その長い生活が患者さんやその家族・友人などにとって少しでも良いもので、その生活が長く続くことを考えるということを学ぶことができました。
 リハビリはまさにチーム医療そのものであり、私たち地域医療を目指す研修医には必須科目と思いました。皆さんもぜひ、研修をされてはいかがでしょうか?
指導医高橋先生(右)と療法士の皆様と



                 台東病院の忘年会に参加させていただきました。
                 病棟スタッフの方と上野のパンダさんが駆けつけて
                 記念写真です。
    

2012年11月28日水曜日

女川より


S1大平です。初めての投稿です。よろしくお願いします。

女川町には2つの有人離島(出島・江島)があります。震災前はどちらにも無床診療所がありましたが、震災後常勤医が不在となり、当院よりそれぞれ月1回、巡回診療を行っています。
今日はそのうちの江島へ行ってきました。

島へは巡航船(片道30分くらい)で行きます。波も荒くなく、予定通りの出航です。


島の住宅は斜面にあり、津波の影響は無いものの地震の影響があり、修繕して住んでおられます。以前は50程の家族(ほとんど2人暮らし)が住んでいたようですが、現在は半数程とのことです。養殖業が主です。


港からそれぞれの住居までは階段が多く、高齢者にはきつそうです…


診療所も建物自体は無事でした。定期薬・臨時薬・診療セット等を持ち込み、診療開始です。



今日は定期処方+インフルエンザワクチン接種で、計20名程の診察でした。
ワーファリンの調節などがその場でできないのがもどかしいところですが、皆さん定期的に本土に用を足しにくるので、医療センターに寄っていただき、その際に追加分の処方など行っています。
帰りには、患者さんからナマコとアイナメをいただきました。自分ではさばけないので、スタッフにさばいてもらおうかな…

島での生活は不便な面も多いですが、それでも故郷を愛し、住み続けておられます。少しでもお手伝いを続けて行こうと思いながら、島を後にしました。




2012年11月17日土曜日

久瀬研修,最終日では


S3菅波です.
学生実習の最終日,学生とどんなことをするのか書きます.

1.最終日には診療前にACCCCセッションをします.この前湯沢のシニアミーティングでやったような感じです.

2.午前中,基本的にはケースのまとめ,発表の準備をしてもらいます.

3.継続的に関わっている人が外来にいれば,あいさつもかねて一緒に外来をします.

4.担当した患者さんに,最後のあいさつに行ってもらいます.
  写真を一緒に撮ったり,手紙を渡したり,涙したり,いろいろです.
  申し送りをしっかりしてもらうことも大事です.

5.スタッフが名残惜しみます.もうちょっとおらんかな,となります.

6.昼休みには,指導医,スタッフ,他の研修生などの前で発表してもらいます.
  主に自己紹介,ここでの経験・出会いと振り返り(感想,学んだこと,成長した部分など)を話してもらいます.笑いあり,涙ありです.
   研修提供側としては,成長を感じて感無量になったりします.醍醐味です.
  聞いている側も全員本人にフィードバックコメントを伝えます.
  サプライズもあったり,なかったり.

7.担当して搬送・入院になった患者さんがいれば,病院に挨拶に行ったりもします.

8.研修終了時アンケート&振り返りシートに記入してもらいます.(これは最近始めました)
  アンケートの中に「地域医療,家庭医療とはどんなものだと思いますか?」という項目をいれてみました.これはこの前の鈴木先生のブログ記事に感化されました. 
  あるいは直接振り返りを行います.都合にもよります.

9.ケースレポートをチェック,フィードバックします.

10.    実習の前後でアウトカム自己評価&指導医評価をしたりもあります.都合によります.

11.    研修記念の個人写真をとり,その写真にコメントをもらいます.
    以前はポラロイド,今はデジカメです.
    研修生のアルバムがあり,膨大な量の写真が宝物になっています.
    そうそうたる先生の写真がところどころにあります.

12.     スタッフとアドレスを交換したり,Facebookつながりになったりもあるようです.

13.     最後にスタッフの前であいさつして,全員と握手orハグをして終了です.
     笑いあり,涙ありです.けっこうさみしいです.

今週は,研修生の初日,3週目あたり,最終日を紹介しました.


2012年11月13日火曜日

地域医療研修の3週間目あたりでは


久瀬診療所S3菅波です.
今週は研修生たちの日々を紹介します.

現在診療所には,数名の学生,研修医が研修に来ています.所属や,開始時期はバラバラです.

中でも3週目の医学部生の今日の研修について紹介します.

学生にも研修医にも必ず「担当の方」を持ってもらいます.できれば一日の研修でも担当をしてもらうよう考えます.
学生には特に,一人の方としっかり向き合い,関係を作り,医師として考えることを大事にしてもらいます.
その方の生活の場に身をおくこと,一対一で向き合うこと,その中で一回踏ん張ること,関わっているいろんな人と知り合ってもらう,協力することなども大事にしているような気がします.
また,その中でケースレポートを書いてもらうようにします.

自分は研修医1年目の時,認知症,独居の90代男性を担当しました.
幻覚がみえるという訴えがあり,寒い家で‘お泊り実習’をさせて頂いたことは,自分の医師人生や人生にとってとても大きな体験でした.

今日,3週間目の学生とどんな1日を過ごしたかに話を戻します.

1.朝,今日の予定を皆で確認する
2.担当の方についての調べものをする 自主的に訪問前の準備をしています
4.最中に先輩研修医やスタッフと話したり・相談したりする
5.担当の方の家に一人で行ってもらう (約束をしたうえで)(スタッフや他の学生さんといくこともあり)
6.帰ってきたらどうだったか聞く 
7.他の研修生と昼ご飯を食べる
8.往診に一緒に行く 状況をみながらできることをやってもらう 
9.救急車で搬送することになり,すこしプレゼンの準備を一緒にする
10.     消防への連絡をしてもらう 横でサポートする こっちはその風景を写真に撮る
11.     救急車に同乗する  後方病院ですこしプレゼンする
12.     その後感想をきく
13.     そのケースの経緯と感想をパワーポイント形式でちょっとまとめてもらう
14.     その他振り返りを4分割表で書いてもらう
15.     まとめたケースについて発表してもらう 皆からフィードバックする
16.     皆で振り返りをする.先輩研修医達の振り返りコメントに対して,フィードバックしてもらう.
17. 担当の方の訪問時の出来事について聞く
18. 勉強ネタについてちょっと話す 終了

こんな感じです.学生は3週目あたりになると,急激に伸びます.自主的にいろんなことができるようになってきます.すごいなあと思います.

2012年11月12日月曜日

久瀬診療所での地域医療研修の初日の紹介


久瀬診療所S3菅波です.
診療所では全国各地から多くの研修医,学生(医学生,リハ学生,看護学生,介護学生など)を受け入れています.
今日も新たに2年目研修医が2週間の地域研修にやってきました.
はじめて診療所に来た日に,どんなことをしたり,してもらったりするのか,紹介します.

1.挨拶する
2.自己紹介を書いてもらう 今回の目標を書いてもらう 目標をちら見しておく
3.外来をちょっとみてもらう
4.施設のシステムをちょっとずつ説明する
5.コンサルトを受けながら外来をやってもらう 
6.患者さんに手紙をかいてもらう
7.薬をつくってもらう
8.患者さんの帰宅に付き添ってもらう
9.慢性期外来についてちょっと捕捉する
10.     スタッフを集めて自己紹介をする ニックネームを教えてもらう
11.     訪問診療に一緒に行ってもらう 
12.     訪問に行く時に車の中でしゃべる 景色をみてもらう
13.     訪問診療をすこしみてもらう 感想をいってもらう
14.     訪問診療をやってもらう 横でみながらサポートする 
15.     車の中で感想をいってもらう フィードバックする
16.     一緒に調べ物をする
17.     一緒にグラム染色をする 抗菌薬の選択を話し合う
18.     スタッフや他の研修生とちょいちょい話す
19.     また外来をやってもらう 今の時期はインフルエンザの予防接種など多い
20.     最後に研修生全員で4分割表に基づいて振り返りをする(研修生それぞれが発表し,それぞれがフィードバックを受ける形)
21.     アクセスtoケアとかコンテクストとかバックグラウンドとかそんな話が話題になった
22.     ちょっと勉強した方が良い項目の資料をわたす
23.     明日の予定を確認し終了する

こんな感じです.みなさんの施設ではどうですか?

2012年11月11日日曜日

秋のできごと

久瀬診療所S3菅波です.

全国で秋が深まっていると思います.
久瀬の秋の風景をちょっとだけ紹介します.
これは10月です.


これは今日です.だいたい同じところからとった風景です.天気悪いです.


秋はとてもきれいですが,その後待っている冬を考えるとすこしさみしくも思います.

さて,久瀬に赴任して1年がたちました.なんとなく診療所の1年のサイクルがわかりました.
この秋の出来事をちょっと書いてみます.地域,施設でどんな感じか書いてみます.

<地域・施設>
10月初め 朝晩が一気に寒くなる.これが山の季節.
それに呼応してか,その頃に風邪などの軽傷も含め急病者が増える印象.緊急の対応も増える.
それもあり,施設の利用率があがる.
職員の中でも体調不良者があり,お互いに埋め合わせる必要がある.
それぞれの家庭で冬支度がはじまる.畑仕事が減ってくる.
部屋の中でニット帽をかぶる人がでてくる.皆,ズボンの下に「ズボン下」をはくようになる.
夏野菜から秋野菜・冬野菜に変わってくる.さといも,きのこ類,大根など.
施設,地区毎に運動会がある.文化祭もある.
町民の健診/学校・幼児園の健診がある.
健康講座(認知症,たばこ)などの依頼が多い.
インフルエンザの予防接種がある.
いびがわマラソンの救護係がある.(今日だった.)
OHSUからテイラー先生とアニタ先生がこられた.

ひとまず思いつくのはこんな感じです.

この秋から始めたこととしては...
・予防接種キャッチアッププロジェクト(通称 久瀬のこどもげんきプロジェクト)
・リハビリカンファ
・教育にこれまでより力入れる
   最初の評価,最後の振り返りをけっこうがんばる,途中でリクエストをとる
   フィードバックをちょっと厳しめのも取り入れる
   研修生に勉強ネタの発表をしてもらう機会をつくる  など
・施設職員向けの勉強会(これはしようと思ってなかなかできない)
・ドラゴンカンファ(研修生ドラゴンがいたときに開始されたケースカンファ)

そんな感じです.

2012年11月5日月曜日

『家庭医は定食屋だ!!』

湯沢で研修中のS3鈴木です。湯沢は先日初雪が降りました☆

さて、皆さんは、研修医や見学に来た学生に家庭医(地域医療)をどのように伝えていますか?

それぞれが感じる家庭医があり、様々な捉え方があるのも魅力の一つと思われます。

患者中心の医療、BPSモデル、家族ケア、行動変容、ACCC、ヘルスプロモーションなど、
広範な視点で患者さんと関わっていることに、我々の専門性があると思うのですが、
その仕事内容を一言でイメージとして掴んでもらうのは難しいと思います。


今回は、自分の感じている家庭医について語らせて頂きます。


ずばり!それは…、


「家庭医は定食屋だ!!」




別に変なこと言いだしたわけではないですよ(汗)


私は、よく家庭医を定食屋に例えて説明します。


では、なぜ定食屋なのか?


どんな街にも一つくらいは地域に根付いた定食屋があると思います。

そんな定食屋をイメージしてもらいたいのですが、
そこには地元の人が好む味、料理が多数あり、
地産地消、通いやすい雰囲気があり、
時には出前に行き、時には弁当などの仕出しもする。

メニューになくても食べたいものがあれば、
出来る限り対応する。

地元民の交流の場でもあり、
優しさ、安心に溢れ、
心身共に満腹になれるのもを提供する。

お客さんの顔を見ながら、その人のために料理する。

大衆的だが、家庭的な温かさを持っている。

多かれ少なかれ、私は定食屋にそんなイメージを抱きます。

逆に言えば、地元民の口に合うように、
常に配慮し、変化しなければ、
定食屋としては続けられません。


しかし、専門料理店はその必要がありません。
ある程度の料理を提供していれば、お客さんはそれを求め、
少し遠くても足を運びます。

人の流れがある場所であれば、
同じ料理を提供していても、
他の場所でもやっていけます。


でも、定食屋が全く同じメニューで違う土地で営業したら、
多くが続かないと思います。

その土地の食材を活かし、地元民向けの味に変えていく必要があるでしょう。

人の流れが少ない場所ほど、
その地元の人にあった料理を提供していかなければ、
定食屋は潰れてしまうでしょう。



ここまで読んで如何でしょうか?

何となく地域医療と似ているなと思いませんか?

「家庭医は定食屋だ!」と言われても違和感がなくなったのではないでしょうか?

これまで何人かにこの話をしましたが、
妙に納得してくれる人もいれば、最後までしっくりこない人もいました。

『大戸屋』とかどうなんだ!?って言われても困りますし…。

あくまで私の感じる家庭医です。

皆さんの家庭医観もあったら是非教えて下さいね。

今日も心身ともに“まんぷく”になってもらえる医療を考えつつ、
夜ごはん何食べようかな~とお腹の虫とも向き合わなきゃならない、
そんな毎日です。。。


長文、お読みいただいた方、ありがとうございました☆

安いけど美味しく心温まる定食屋が大好きな鈴木でした☆

(前回、投稿すっ飛ばしてしません 汗)

2012年11月4日日曜日

ライフサイクル

S1片岡です.
投稿が遅れてしまいすみません.

今年の夏は,ススメのみなさんや東京北の先生方で
お子さんが生まれた方がたくさんいらっしゃいましたね.
私も7月に長男が生まれ,首が座ったり,生まれたころに着ていた服が小さくなったりと
日々成長を実感しています.

子供が生まれて間もない頃はあまり実感がなかったのですが,
家族でお宮参りに行ったり,自分の両親が「おじいちゃんおばあちゃん」と呼ばれたりすると,
ライフサイクルが一段階回転したのかなと最近感じるようになりました.

日々の診療でも,小さいお子さんを連れている患者さんがいると,
「大変ですよね」と共感できることが少しずつ増えてきました.

自分自身も悩みながら,「親の視点」を少しずつ身につけられるようにしたいなと
感じます.

2012年11月1日木曜日

西伊豆病院

 10月1日から26日まで、4週間にわたり地域医療振興協会を離れて西伊豆病院というところで研修をしてきました。主な目的は院長の仲田和正先生について整形外科を学ぶというものだったのですが、そのほかにも多くのことを学ぶことができましたので報告をします。
①整形外科分野の研修
  研修は朝6時15分から始まる病棟回診、午前中の外来診療、午後の手術・処置という流れでした。外来診療では膝、肩、腰といった訴えの多い症候の問診や診察方法、膝、肩の関節注射、骨折、捻挫といった頻度の高い外傷の診断から固定処置を経験しました。診察中および空き時間を利用して適宜講義をしていただき、たいへん有用でした。今回の研修で特に印象的だったことはエコーを利用した診断を行っているということでした。エコーの活用は診療所での診断に必ずや有用であり、今後ぜひ取り入れていきたいと思いました。
②手術研修
  整形外科分野では大腿骨頚部骨折や転子部骨折、手根管症候群を経験しました。手根管症候群は実際に執刀を経験させていただき、解剖学的構造も含めて理解を深めることができました。また整形外科以外の手術についても外科の木島先生に声をかけていただき参加しました。虫垂炎、腹腔鏡下胆嚢摘出術、大腸癌右半結腸切除、慢性硬膜下血腫穿頭血腫除去術などを経験しました。今後は診療所勤や内科での勤務が中心となうことから貴重な経験ができたと思います。
③勉強会
      週に4回早朝勉強会が開かれます。水・木曜日は札幌医大のプライマリケアカンファ、木曜日は仲田院長のレントゲンカンファ、金・土曜日はスタッフもしくは研修医の先生からの発表でした。各勉強会ともテーマがしっかり設定されており新しい知識や曖昧になっていた知識の整理にとても有効でした。最近勉強を怠り気味であった自分にとっては刺激的で勉強やる気スイッチが入ったような気がしました。
④当直研修
     西伊豆病院のある地区は西伊豆町、松崎町、伊豆市の一部がある伊豆半島西部唯一の救急対応病院であり救急要請はすべて対応を原則としています。高度の医療対応が必要な場合には日中であればヘリを要請することができますが、夜間の場合には約1~2時間の峠越え救急搬送となります。その中での当直を2回経験しましたが、これまで経験したことのない緊張感でした。このような環境の中で地域医療を支えている常勤の先生たちの責任感に強く刺激されました。
⑤その他
    そのほかにも研修中は町の予防接種、巡回診療、診療所研修など様々な経験をしました。研修外でも交流会を開いていただき貴重なお話も伺いました。休日には堂ヶ島、松崎、下田、南伊豆と風光明媚な景色や海幸を満喫しました。短期間ではありましたがとても有意義な研修になったと思います。仲田先生はじめ諸先生方、スタッフの皆様には心から感謝です。そして、興味のある方はぜひ西伊豆での研修をお勧めします!


    
 

2012年10月15日月曜日

青い森に囲まれて



 青森県下北郡の東通村診療所で研修している佐々木航です。東通村は下北半島の北東の端にあります。今年7月に東京都北区の東京北社会保険病院から移動しました。

 どこまでも続く森の道、かと思えば田園風景、点在する集落、信号が村に一つしかない、満月の夜には空が明るい。7月に初めて東通村に来たときは、おとぎ話!? 絵本の中!? RPG!? 驚きの連続だった毎日も、はや3ヶ月経過し、だいぶ慣れてきました。豊かな自然を見ても感動しなくなりました。車で20分ほど走ればむつ市街に出てなかなか便利です。あれ? そういえば下北のイントネーションになっている?

 人や生活などでも新しい発見がたくさんありました。何より、住民がとても優しく、私達を信頼してくれます。一方で疑問を持たず信頼してくださるので、責任重大です。お互い顔見知りの住民が多く、集落全体で一つの家族、といった集落も中にはあります。
今年の夏は例年より8℃も高かったそうです。厳しい冬に耐えるためにほとんどすべての家にストーブがありますがクーラーはほとんどなく、扇風機すらない家もありました。高齢者の家庭では、体調が悪くなるととりあえずストーブをつけて布団にくるまる、というところも少なくなく、今年は特に熱中症が多かったようです。

 新しい地域に行くと人も生活も自然も発見が多く、医学的な発見よりも刺激的に感じます。あと6ヶ月、どのような発見が待っているのでしょうか。とりあえず、スタッドレスタイヤを用意しておこうかな。


 医師住宅から診療所へ続く通路です。毎朝森林浴しながら診療所へ行きます。トトロに会えそうな気がします。

2012年9月28日金曜日

生活習慣病予防

 お久しぶりです。磐梯町医療センターS2の長坂です。

 磐梯町に越してきて半年が経ちました。春と夏を過ごしたわけですが、東北とはいえやはり夏は暑かったです。
 ただ、磐梯町は標高が高いためか、昼は暑いのですが夕方からは涼しく、寝るときはクーラーなしですごせました。その分、町にクマが現れることもありますが。

 さて、タイトルにあるように、先週と今週の2週にわたり、生活習慣病予防に関してと、メタボリックシンドロームに関して、磐梯町の町民の方を対象に講演をさせていただきました。
 講演などというものは初めての経験で、自分が生活習慣病予防ができていないのに、講演などできるのだろうかと心配していましたが、何とか無事に終えることができました。
 これを機会に勉強することもでき、非常に貴重な体験をさせていただきました。
 講演をしたこともそうですが、講演後の質疑応答の中で参加者の方が、「うちの夫は家族の言うことは聞かないけど、お医者さんの言うことは聞く」とおっしゃっていて、改めて医者の言葉の重さを認識しました。
 あやふやなことは勉強し確認して、根拠に基づいた責任ある発言を心掛けていきたいです。

 もちろん今回の講演でも根拠に基づいた発言を心掛けようと、厚生労働省のホームページなども参考にさせていただきました。
 厚生労働省のホームページに脂質異常症に関するページがあり、コレステロールを多く含む食品の例が挙げられていました。
 コレステロールを多く含む食品に中に「皮なしの鶏肉」とあり、はて?鶏肉は比較的ヘルシーな食品だと思ってたけど、さらにその皮を取ったのなら、より脂質なんかは少ないのではないだろうか?、といった疑問がわきました。
 これに関し確認しようと厚生労働省に電話し問い合わせたところ、「そのページはだいぶ前に委託業者に作ってもらったもので、今は当事者と連絡も取れず、資料もないので確認できない」とのお答えでした。
 厚生労働省・・・
 日本の医療業界のトップなのだから、根拠に基づき責任ある発言をして欲しいものです。

  写真は日本三大ラーメンのひとつ喜多方ラーメンです。
まこと食堂のチャーシューメン

 喜多方市までは磐梯町から車で30分ほどで行くことができます。
 これまで東京や横浜で、家系ラーメンやつけ麺のように、ややこってり系のラーメンを好んで食べており、いまさら正統派のしょうゆラーメンなんか食べてもそれほどおいしく感じないだろうなと思っていました。
 しかし、喜多方ラーメンを一口食べてみると、
 「う、うまい!!」
 具は基本的にチャーシューとメンマとネギのみ。野菜増しもこってりも背脂もない。なのにうまい。
 これまで7、8件ほどまわりましたが外れはありませんでした。
 塩分のことも忘れスープも飲み干すうまさです。
 恐るべし喜多方ラーメン。
 

2012年9月25日火曜日

神津島にて


島の人たちは子ども好きの人が多いです。

それはきっと人口2000人のこの島の人々ににとって、子どもというのは本当に宝物だったからではないかと思います。

小さい子どもを持つ島のお母さんたちは、毎年、何人男の子と女の子が生まれるかという話題で大変盛り上がります。なぜなら、年に1度の村民大運動会で、各学年からリレーの選手を選ばなくてはならないため、そのリレーの選手の数はせめて毎年生まれて欲しいからです。

また、私事で大変恐縮ですが、今年6月に我が家に双子が産まれました。
先日、妻と子どもたちが島に戻ってきたのですが、子どもたちを散歩に連れて行くと色々なところで声をかけられ、島の人たちは子どもが好きなんだなぁと思うと同時に「この前、診療所を受診した時に子どもが産まれたってなんで教えてくれなかったの」とお叱りを受けることもありました。

島に来て2年半が経ち、島の人に少しは受け入れられてきたんだなぁ、と嬉しい気持ちにもなりました。

2012年9月24日月曜日

台東病院で勤務していて感じること

台東区立台東病院の堀田紗代です。
早いもので、今年4月に地域医療型プログラムのシニアレジデントになりすでに半年となりました。
ここで私が現在研修している台東病院で働いていて感じていることについて書きたいと思います。

5月のシニアレジデントのオリエンテーションの会場だったのでご存知の方も多いと思いますが、
台東病院は上野や浅草からすぐ近くの住宅地の中にあります。

区立病院ということもあり、患者さんの多くは台東区民で、まさに地域のための病院であると働きながらも実感しています。

私はこちらに勤務する前にいた大学病院との大きな違いでまず最初に感じたのは、
ソーシャルワーカーさんの多さでした。
私が記憶する範囲では、1000床近くある病院で実際に働いていたソーシャルワーカーさんはわずか一人でした。
ところが台東病院では、40床の各病棟に一人、120床の病院で計三人のソーシャルワーカーさんがいて、毎朝病棟の申し送りに参加しています。
しかも救急患者さんの受診となるとどこで嗅ぎつけたのか一般病棟担当のワーカーさんがいつのまにか救急外来に来ていて、
その患者さんの家族背景や生活状況、受診歴などを事細かに教えてくれます。
まさに、患者さんのため、地域のための病院であると実感するときです。

さらに、チーム医療を実践していると感じることが多いのも大きな違いです。
患者さんとのカンファレンスの時、リハビリの療法士さんや看護師さん、ワーカーさんと一緒に患者さんや家族、ケアマネージャーさんらと話し合い、
今後のことを決定していくプロセスはまさにチーム医療だと感じます。
決して一人で治療しているのではない、医師だけが特別な職種ではないと感じるときです。



写真は、ちょっと関係ないのですが、病院近くにあるスカイツリーの真下でとったものです。


今後も地域に少しでも多く貢献していけるよう経験を積んでいきたいと思います。