2012年6月15日金曜日

小児科研修

東京北社会保険病院 シニアレジデント 水谷康彦です.
私は,地域医療のススメコースと東京北社会保険病院総合医コースに所属しております.
現在は,東京北社会保険病院の小児科で研修中です.

小児科特有の出来事について気付いたこと,感じたことあります.
1) 「良薬口に苦し」ということわざがあります.小児の場合は文字通り,良薬が苦い場合あります.非定型肺炎などの良い選択肢となるアジスロマイシンという薬がありますが,これが非常に苦いそうで,多くの子どもは,ペッと吐いてしまい,治療にならないことがあるので,小児科では,アイスクリームに混ぜてもらってたべてもらうように指導したりしています.
2) 予防接種について.日本は「ワクチン後進国」と言われるほど,予防接種で諸外国に遅れおとってきましたが,ようやく,最近になり少しずつ改善されてきたようです.ヒブ(インフルエンザ桿菌B型),肺炎球菌ワクチンの一部公費助成などが始まってきて,来年は定期接種に組み込まれるという話もでているようです.
東京では,基本的には小児の医療費は無料ですが,任意接種のワクチンは(一部公費助成あるも)有料となっている現状です.現在の保険制度は,病気を直すためには,保険がきくけど,病気にならないための行為(つまり予防)には,保険がきかないという現状になっていて,矛盾を感じます.

3) 初期研修でも3ヵ月間,小児科のローテーションを行ったので,今月を併せて計6ヵ月経験して,commonな症状へのアプローチ・初療・専門医へのコンサルタイミングなどは掴みつつあります.しかし,比較的commonにも関わらず,かなりハードルを感じてしまっているのは,発達の評価です.非常に正常と異常の境が難しく,フォローの仕方も難しです. 1歳半で,どれくらい話せるといいのか?(逆に言うと,話せない場合に,どう経過をみていくといいのか)などの疑問です.
こういうことは,地域の診療所など問題になることはあるのでしょうか?そういうばあいどうするといいのでしょうか?
など,色々疑問が産まれてしまいましたが,日々勉強させていただいています.

3 コメント:

「地域医療のススメ」研修生 さんのコメント...

1について
大人でもそういうことありますね.
癌終末期に痛くて痛くて,その影響もあってせん妄だったりして.痛みどめや眠剤など全部吐き出してしまったり.
液剤を飲み物にして入れたとき,それをみすかされていて毒をもっただろうと怒られたり...(笑)
いろんな工夫が必要でした.全部砕いてアイスやプリンと食べてもらったり,経口ではどうにもならず,経直腸的にかえてみたり.家族に何とか手伝ってもらったり.
薬剤をいかにして飲んでいただくかは,どの薬剤を選ぶかとともにとても重要な検討事項だと痛感した事例でした.

3について
自分も発達はとても苦手です.幼稚園や小中学校の健診などにもいきますが,個性なのか,障害なのかは非常に難しいと感じています.ひとつは,障害をしっかりひっかけるスクリーニングをおこなって,気になる症例については家族とともに面談してその後のフォローをどうするか(そのまま診療所でみるか,専門医コンサルトを行うか)というのを考える必要があるとは思います.そこでどういうスクリーニングをするのかというのが非常に問題ですが...正直自分では確立できていないのが現状です.今度地域の病院で開かれる勉強会に参加してみようと思っています.勉強になったら報告したいと思います.

「地域医療のススメ」研修生 さんのコメント...

上記コメント 菅波でした.

「地域医療のススメ」研修生 さんのコメント...

3について

湯沢では医師、保健師、栄養士、歯科医、歯科衛生士、保育士、母子健康推進委員(地域のお母さんみたいな方)らで乳児健診を行っています。
医師は、月に数回来る小児科Drが主に担当しています。

『1歳半でどれくらい話せるといいのか?話せない場合にどう経過を診ていくといいのか?』
まさに自分の子供がひっかかってフォローしていただいたので、詳しく答えを知っていたりします ^^:

1歳半健診の場で小児科Drは
遠城寺式(http://www.gotoushounika.com/kenshin.html からダウンロードできます)と照らし合わせ、
•2ヶ月の遅れなら2ヶ月後に保健師に1歳半のレベルに達しているかチェックしてもらう。
•半年の遅れなら『何か病気だと思っている訳ではなく、ちゃんと成長しているか確かめるために』1,2週間以内に小児科受診としていました。
小児科受診では遠城寺式で言語以外の項目もチェック。
すべての項目が軒並み遅れているなら発達障害を疑う。
言葉だけであれば『2歳までに言葉が出れば大丈夫。』

小児科Drは保健師、保育士達の情報も参考に判断されていました。
乳児健診の時でさえ子供に接する時間は医師が最も短いし。診察室や健診の場以外で『普段はどんな様子か。』の情報をよく聞かれていました。

湯沢では小児科受診以外のフォローの仕方として
保健師中心に『遊びの教室』を開いたりもしています。

まとめると、地域の診療所では気になる子の情報を多職種で共有して、多職種でフォローして行く、ってかんじでしょうか。
我が子も皆様に見守られて大きくなりました ^^:

子供の発達に関して、私自身医師としてもまだまだ勉強することがありますが、
遠城寺式の他に平岩幹男著『乳幼児健診ハンドブック』が参考になりました。

修了生 佐藤優子

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