2018年9月1日土曜日

OHSUで感じた、日本との違い

みなさん、こんにちは。S4児玉です。日本はまだこんなに暑いんですね。
7,8月と2ヶ月間、オレゴン健康科学大学のfamily medicineを見学してきましたので報告します。
家庭医がたくさん!
日本とアメリカの家庭医療における一番の違いは何かと聞かれると、家庭医の数でしょうか。Kansas City で開かれたアメリカ家庭医療学会のカンファレンス(日本の夏季セミナーのようなイベント)に参加させてもらいましたが、プログラム説明のブースには全米から何百というプログラムが集まり、話を聞きにきた学生たちでごった返していました。家庭医療が進んでいないと言われる東海岸でも、大学でfamily medicine について必ず習っているし、どの州にもプログラムがあります。家庭医が多い理由はその歴史にありそうでした。米国では1970年代にはすでに家庭医療のresidencyができ始めていました。OHSUでは現在指導医をする医師はほぼ全てfamily physicianで、その中にははOHSU residencyの卒業生も多くいます。つまり、同じ境遇のレジデントを、自分がされてきたように指導する、理想的な形が完成しています。
日本では医学生の多くは家庭医、総合診療医が何かを教わらずに卒業します。ようやく若手の家庭医が増えてきたところで、多くのプログラムは指導医不足です。でも、高齢化はアメリカより早く、複雑な問題を抱える患者に対する対応に長けている家庭医はむしろ日本の方が必要とされているのではないかと感じました。

                
教育システムについて
学生教育
1年生の学生と見学した日がありました。彼女は3ヶ月以上一人のfamily physicianについて勉強していました。family medicineに興味があるため、選択期間をすべてfamily medicineに当てたそうです。患者さんのところに行って予診をとり、アセスメントとプランまで考えて医師に報告していました。これは日本では研修医1年目でやっていることでしょう。こうした臨床に即した教育が4年間提供されることもあって、こちらの研修医1年目は日本の研修医より臨床現場をよく知っているし、知識も豊富です。このシステムはマンパワーが必要なので日本では現実的ではないのかもしれませんが、座学中心、大学病院ではほとんどうしろで見ているだけの日本と差ができて当然でしょう。いきいきと楽しそうに勉強している学生の姿が印象的でした。

クラマスフォールズにあるプログラム、Cascade Eastで1週間見学
一番右のWarren先生の家にホームステイしました
レジデントの教育
水曜日の午後はdutyが免除されて勉強会に参加できます。1年目は他にも免除される時間を設けてあり、レジデントの学習の機会はたくさん取れるようにしてあります。レジデントは2週間ごとにクリニックと病院と他科研修を行き来していますが、これはアメリカの中でも少数派のやり方のようです。週1回は自分のクリニックに戻るので、4年間継続して見られる患者がいることが最大のメリットですが、クリニックと病棟両方で弾く次が発生するのでどうなのかな、と思ったりもしました。

OHSUで知り合った日本人の学生、レジデントで結成した望月会

日本の家庭医の強み
日本の方が上手なこともたくさんあるように感じました。以下箇条書きにして見ました。
・家庭医療のコアについては僕らの方が学ぶ機会が多い
・高齢者が多く、家庭医的なNarrativeを意識した診療がfitしやすい。
・病院やクリニックへの物理的・金銭的アクセスが良いので、比較的短期間での外来フォローをしやすい
・クリニックの規模が小さいので、個人的な継続性は維持しやすい。(専攻医は別ですが、、)
・担当する患者が多いので、数で経験を積んでいる
・保険のシステムがわかりやすい
日本では家庭医・総合診療医がまだ新しいためか、家庭医療のコアについて熱く語れる指導医は日本の方が多いのでは?と感じました。
そうした知識を学び、後輩たちに伝えていくことはとても重要ですね。

湯沢に来てくれた時から交流が続いているJason
野球に2回、サッカーに1回 連れてってくれました
この日は地元サッカーチームTimbersの試合
 これから何をするのか
望月先生との秘密対談
アメリカで1980年代に起きていたことと、今の日本の総合診療で起きていることは非常に近いと感じました。そして、日本の総合診療は発展途上で、これから日本にあったように形を変えていくのだということを再認識しました。日本はアメリカに比べて総合診療医が少ない、指導医の数が少ない、診療範囲が狭いなど様々な疑問がすっきりとしました。分化しつつある日本の総合診療に関わっていくことはとてもやりがいがあるなと感じました。今後僕たちが何をすべきなのか、自分なりに考えたことは2つあります。一つは学生・研修医に総合診療の面白さを伝えられる医師になって、総合診療医を増やすこと。もう一つは専門家との良好なコミュニケーションで総合診療医がいかに効率よく全体を見られるのかを知ってもらうこと、ひいては質の高い研究で政策にも影響すること、、、。話が大きくなりましたが、一人では全部できないので、みんなで作っていくしかないですね。

また、僕らが日常的に参考にしている情報、論文や2次資料の多くがアメリカの情報をもとにしています。エビデンスが生まれた場所の文化や医療の背景を知った上で活用すると、また少し深みが出てくるのかなと感じました。

書き終えてから、藤沼先生がとてもタイムリーな内容に触れている記事を見つけました。興味がある方は読んで見てください。100倍重みがあります。


 
ポートランドには小規模の
brewery(ビール醸造所)がたくさん
毎日のように行きました
iPhoneをバスに踏まれたり、水道管が詰まって下水が風呂から沸き上がったり、バス停の目の前にまさかの駐車で罰金くらったり色々ありましたが、充実した2ヶ月を送ることができました。
こうした機会を作っていただいた協会スタッフの皆様、OHSUスタッフの皆様に感謝いたします。














地域医療型ブログラム「地域医療のススメ」はこちらから >>

1 コメント:

井上陽介 さんのコメント...

児玉先生

湯沢町保健医療センター井上です。
アメリカ生活を楽しんで来られたようでよかったです。
アメリカを見て、日本を振り返って、日本を知ることができたようでとてもよかったのではないかと思います。
先生も書かれているように、私も日本の総合診療・家庭医療はまだまだこれから発展していく途中だと思います。
私が医師になった25年前には、この分野のことを理解してもらえる医師はほんの少しでした。それから10年経って、徐々に人が増え、今は医学生さんでも総合診療や家庭医という言葉を知っている人が多くなり、実際にプログラムで研修している人も増えました。次の10年、その次の10年でますますこの分野は発展していくと思います。
これからもみんなで頑張っていきましょう!

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