2013年4月14日日曜日

カルシウムとビタミンDの摂取は高齢者の骨折を減らすのか?

S2の田中です。
現在は岐阜県にある揖斐郡北西部地域医療センター(久瀬診療所)で研修をしています。



EBMネタが続きますが、先日EBMスタイルの抄読会を学生・研修医向けにおこなったのでその報告をしたいと思います。今回あつかったのは以下の論文です。

Effect of vitamin D(3) and calcium on fracture risk in 65- to 71-year-old women: a population-based 3-year randomized, controlled trial--the OSTPRE-FPS.

ちょうど久瀬で「骨粗鬆症と転倒予防」についての健康教室をおこなったばかりで、ホットな話題でした。また普段論文を読んだことがない医学生や研修医が対象だったので、RCTを選びました。名郷先生の「歩きながら論文を読む(治療編)」に準拠して読んでみました(詳細はステップアップEBM実践ワークブックを参照)。

P:65-71歳のフィンランド人女性が
I:ビタミンD 800IUおよびカルシウム 1000mgを3年間内服するのと
C:内服しないのでは(※ プラセボではない)
O:骨折は減少するか

ランダム化:○
ITT解析:×(※ modified ITTと書かれていますが、ひっかけです)
一次アウトカム:どれも有意差なし

(以下、私見)
ITT解析されておらず、マスキングもされていないにもかかわらず有意差が出ていません。ビタミンDやカルシウムの摂取と骨折は関係がなさそうです。この論文を読む限りでは、積極的に上記を処方しようとは思えません。

その後はEBMのステップ4、患者さんへのエビデンスの適応に関する議論で大いに盛り上がりました。

ちなみに最近の医学部3年生は「95%信頼区間が1をまたいでいると有意差がない」ことを知っているようです…恐るべし!卒前教育も進化しているのですね〜

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