現在ポートランドに1ヶ月の研修で越させていただいています。地域医療のススメS4の松本です。
なんとか2週間が過ぎようとしています。
OHSUがあるポートランドですが、バラが有名な街でいろんな種類のバラを見ることが可能です。夏の気温が高くなりすぎなければ9月くらいまでバラを楽しむことができるそうです。
現地でサポートしてくださるBenさんに滝とBBQ(この日は生憎の天気だったので室内です)のお誘いを頂いたり、写真を忘れていたのでないのですが、山下先生のご自宅にお呼ばれしたりと楽しい日々です。
日本との違い
1.白衣を着ていない医師も多いのに驚かされました。目に余るような格好でなければとくに問題視されないようです。
2.外来と病棟が完全に分離されている。Hospitalistは病棟だけということで、病棟医は入院診療に、外来医は外来だけに集中できるという点では良いシステムのように思えます。
3.平均在院日数が3.5日!話には聞いていましたがFamily Medicineでもだいたい2~4日で退院していくのは衝撃的でした。
4.帝王切開や精管切除術がFamily Medicineでも普通に行うというのも興味深いです。
精管切除は日本ではほとんど聞いたことがなかったので、これも衝撃でした。
5.ホスピスケアは在宅が主で病棟があるのはポートランドで1箇所しかないと。日本よりもホスピスケアが盛んだと聞いていたのでこれは意外でした。どうも国からのペイが悪くて赤字になってしまうので、ということだそうです。その点では日本の将来像かもしれません。
6.アメリカの介護でも大きく在宅と施設に分かれるそうです。今回自宅の余った部屋で介護するお家には行く機会がありませんでしたが、Assist Livingという施設(写真)
とNursing Homeに行く機会がありました。Assisting Livingは富裕層向けの施設でまるでホテルのようで、食事もフランス料理とワインとか…格差がすごいです。
7.無保険者や低所得者用のセーフティネット診療所がいくつかあり、いくつかの薬剤は無料でもらえる。ただし、受診だけで25$必要な模様。
8.Walk-in-clinicという予約不要な診療所もあるがこちらは医師ではなくナース・プラクティショナーが診療に当たる。急性期疾患や軽症外傷などの治療を行う。立ち位置としては日本の開業医のような存在でした。
エンタープライズでのホームステイ
エンタープライズはオレゴン州の北東部に位置する人口2000人程度の街で、ワローワ郡の中心になっています。ワローワ郡は面積が8,100平方km(だいたい兵庫県と同じ面積)に7,000人しか住んでいません。
牧畜が盛んな地域で、バッファローも飼育され実際に食べることもできます。味は脂肪が少なくてとても美味しいです。もしエンタープライズに行く機会があればぜひ食べてみてください。ちなみに風景はさながら西部劇の世界というかまさに西部劇に出てくる地域です。
このエンタープライズにはWinding Waters Clinicという診療所があります。Wallowa Memorial Hospitalと一体的に運営されています。ここでも病棟・救急と外来に分かれています。Hospitalistは11名、Cliniciansは5名+ナース・プラクティショナー1名で、救急当番は月に3~5回、午前6時から翌日の午前6時までの24時間当直になるそうです。
夏休みは大体2週間~1ヶ月ほど取れるようです。羨ましい。
普段の診療は7時~19時の診療時間になっており時々、20時位まで残業もあるようですが概ね午後6時までには帰っているようです。
また、隊員の際にCHW (Community Health Worker)という医療と自宅とをつなぐ役割の方がいると。日本で言えばソーシャルワーカーかケアマネージャーみたいな立場でしょうか。このCHWはヘルスプロモーションでも重要な役割をもっているようで、日本でも使えないかなと考えています。
エンタープライズではPowers夫妻宅にホームステイさせていただきました。旦那さんは診療所のCEOであるNicさん、奥さんが診療所のDrであるLiz先生です。どちらもエンタープライズの出身ではなくNicさんはボストン出身。Liz先生はミシガン州出身だそうです。Liz先生が交換留学でフィンランドに行った際にサウナ好きになって作ったとのことです。私もサウナをご一緒させていただきました。
当初は英語が不得手なことに不安がありましたが、なんとかつたない英語とグーグル翻訳で意思疎通を行うことができました。百聞は一見にしかずの通りで、聞いていたアメリカの医療のイメージと実際に見たものでは全く違うように感じました。
最後にお世話になった皆様に感謝申し上げます。おかげさまで素晴らしい研修になりました。
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1 コメント:
松本先生
湯沢町保健医療センター井上です。
オレゴンでの研修で色々なことを学ばれたのですね。お疲れ様でした。
色々なアメリカの医療事情を直接見られたことで、きっと先生の医療に対する見方がきっと幅広くなったことと思います。
アメリカを見たことで、日本の医療事情や医療体制などをより理解することができるようになったことと思います。
東通に戻られて、その経験を生かしてまた研修を続けてください。
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