2020年7月10日金曜日

WEBで研修体感企画「研修医日記」(月間地域医学2019年4月号より)

病院見学など直接現場に出向く機会が少なくなってしまった中、少しでも研修の雰囲気を感じて貰えれば、という思いから、WEBで研修体感企画として「研修医日記」の掲載を致します。地域医療振興協会が発行する情報誌、「月刊地域医学」のバックナンバーより、不定期に投稿致します。(※掲載の情報などは当時のものとなっております)



2018年4月より「地域医療のススメ」の総合診療プログラムで研修しています,専攻医1年目の氷渡柊と申します.2018年4月 から12月まで東京北医療センター(以下,東京北)の総合診療科で, 2019年1月から3月までは東京北の小児科で研修させていただ きました.同年4月からは再び東京北の総合診療科で研修させていただく予定です. まず当院での総合診療科での研修ですが,週1回の初診・予約外来と病棟管理が業務の中心であり,それらに加えて各種カンファレンスや上級医によるレクチャー,医学論文の抄読会を毎週のルーチンとしてこなしています.当科では専攻医・あるいは初期研修医といった学年の若い医師が診療や教育の中心を担っていますが,指導医や学年が上の専攻医のバックアップ体制がしっかりしており不要なストレスを感じず自信をもって業務を行っています. また現在は少し余裕も生まれ,微力ではありますが初期研修医など後輩医師の指導に携わる機会も増えてきました.

 さてここからは現在私が関わるプロジェクトについて一部ご紹介します.専攻医として1年が経過しようとする中,東京北の総合診療科では人事の影響から来年度の大幅な診療体制の変化を余儀なくされました.この状況をわれわれは総合診療科の転換期と位置づけ,今後のさらなる診療の質の向上とスタッフ・レジデントのやりがい・満足度向上のため,組織改革を推し進めるべく日々科内でカンファレンスを重ねています.そして改革の指揮をとる指導医のもとで,私を含めた専攻医が中心となりその議論に参加しています.



 プロジェクトの方針として,まず総合診療科として自分たちが目指す総合的な方向性を共有ビジョンとして打ち出し,それを元に各論的な戦略を組み立てていきます.この方法論は組織の変化に対しての成長戦略における重要な要素で,組織が常にしなやかに前進するために世界的にも広く行われているようです. 共有ビジョンは,当科が大切にする「和気あいあい」「biomedical」「バランス」という3要素を含むものにしたいと考えました. 「和気あいあい」には働きやすさ・助け合う という意味が,「biomedical」には広義の知識と技術という意味があります.その上で東京北総合診療科の強みである患者の個別性・ 医療関係者間・患者が置かれた地域など全体でのバランス感覚を持つことを「バランス」と表 現しました.「biomedical」という肉食の部分を芯に持ちつつも,全体の「バランス」を取ることができるという草食の部分で覆い,かつ暖かくツンツンしていない「和気あいあい」感がロールキャベツという単語に比喩されるのでは,という意見がありました.これに科内全員で前向きにコンセンサスを得られ,われわれは「ロールキャベツ系総診である」という共有ビジョンが完成しました.

現在はこの共有ビジョンを元に,当科の成長戦略を議論する「学習する組織」と,対外的な マーケティング方法を模索する「ブランディング」の2グループに分かれ,各々が戦略を議論しています.東京北総合診療科の大きな転換期に組織改革の重要な役割を担うことで,自分も科の一員として活動していると改めて実感し,またそれが日々の業務に対するモチベーションにもなっています.来年度も東京北での勤務が決まり,これからも総合診療科という組織とともに自分自身もさらに高めていければよいと考えています.まだまだ至らない部分もありますが,今後ともよろしくお願い申し上げます

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