2012年3月21日水曜日

1年間の振り返り


S2の弘田です。

私は現在、東京北社会保険病院の救急外来で研修しています。

今年度の締めくくりの時期なので、1年間を振り返りつつ書こうと思います。必然的に私の個人的な内容になるので、あまり皆さんのお役に立てるものではないかもしれませんが、お付き合い頂けると幸いです。まず自己紹介をしたいと思います。

私は、初期研修の2年間を東京北社会保険病院で研修し、後期研修1年目は、東京北社会保険病院の総合診療科で6か月間、同院小児科で3か月間、日光市民病院の内科で3か月間研修しました。

昨年度に育休をとっていた妻が今年度から小児科医1年目として働き始めたため、子供の保育園の送り迎えや食事の準備などを私が担当することになり、今年度(後期研修2年目)1年間は、病棟は持たず救急外来で研修しています。このような研修を送れたのは、東京北社会保険病院 総合診療科の皆さんのご協力のお陰だと感謝しています。

研修内容としては、初診外来と予約外来を週1コマずつ担当し、それ以外はずっと救急外来に待機し、ローテートしてくる初期研修医の先生と一緒に、救急外来にwalk-inで来られる患者さんの診療や、外来から送られてきた緊急性の高い患者さんの診療、救急車で来られる患者さんの診療をしています。時々、ハーフデイバックという初期研修医1年目向けのレクチャーで発表したりもしました。

救急外来には軽症から重症まで色々な疾患を持った患者さんが来られます。そのような救急外来で研修できたことで、疾患を診断する能力や疾患の重症度を把握する能力を学ぶことができたと思います。また、どの診療科にコンサルトするのが最も適切かをマネージメントする能力、病棟の空室状況・各診療科の状況・救急外来の看護師さんの忙しさなどを考慮し救急車を受け入れることができるかどうか考える能力、初期研修医の先生が充実した研修を送るにはどうしたら良いか考える能力などが学べたと思います。

一方、家庭医として大切な人中心のケア(患者・家族・地域・社会的文化的側面を踏まえて行うケア)やヘルスプロモーション、地域志向ケアなどは上手く実践できず焦りもありました。しかし、ポートフォリオ発表会の時に配布された英国家庭医療学会のカリキュラム文書を読んで、こういうことだったのかとすっきり納得できる記載を発見しました。それは、家庭医の行う問題解決は、不確実性に耐え、確率(probability)を考え、危険を小さくしなければならない。病院で働く医師の問題解決は、不確実性を減らし、可能性(possibility)を考え、過失を最小限にしなければならない、という記載でした。確かに普段、救急外来では、不確実性を減らし、可能性を考え、過失を最小限にするように心がけて診療しているな、そういう役割を求められる場所で研修しているのだから割り切ってその役割に徹すれば良いと考えられるようになりました。家庭医としての役割は、来年度から研修予定の日光市民病院で少しずつ実践していきたいと思います。
 


 仕事から帰ったら育児や家事という全く別の役割を1年間経験しました。その中で父親として考え、勉強しました。父親としての自分を振り返ると、以前より笑うことが多くなり、理論より感情を言葉にすることが多くなったなと思います。また育児をして発見したことは、子供は親の思い通りになる所属物ではなく、全く異なる一人の人間であるということです。当たり前のことかもしれませんが、このことを発見したことで育児に対する精神的負担が少し軽くなりました。子供に問題が起こると、親は自分に問題が起こったように考えてしまいますが、問題を所有しているのは子供であると思えることもあります。また他の発見としては、父と息子、母と娘の関係は異なるということを勉強しました。父と息子の関係において、息子の成長に伴い「父の乗り越え」ということがついてまわるようです。父が息子の乗り越える(抵抗する)対象となる条件には、何らかの優越性と敬意を息子から勝ち得ていること、父が息子に対して関心をはらっていることが息子に伝わることが大切なようです。自分と父親との関係を振り返っても納得できる部分はあり、自分のことを振り返ることで、なぜ自分が育児に積極的に関わろうとしているかが分かりました。自分も息子にとって乗り越えるに値する父親になりたいと思います。
 
 来年度から日光市民病院で病棟の患者さんも持ちつつフルで働く予定なので、子供と接する時間は減少すると思いますが、家庭での居場所がなくならないように妻や子供からの評価を気にしながら、充実した生活を送れるように頑張っていきたいと思います。

2 コメント:

「地域医療のススメ」研修生 さんのコメント...

医師としても父親としても成長されていてすごいなあと思います。応援していまーす! 佐藤ゆ

尾駮診療所 さんのコメント...

S2 六ケ所村尾駮診療所 小林只

私も1才3ヶ月の娘の父親しながら、医者しています。田舎でやっていてよかったと思うのが、いい意味で医師の仕事しながらでも子供とふれあえる時間が長く取れるということです。同じ敷地内の住宅ですので、月に7~8回の当直も宅直ですし。昼休みに時間があれば、娘と散歩もします(妻の時間を取るためもあって)

お互いがんぱろう~~~

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