2013年10月29日火曜日

上野原リトリート

地域包括ケアセンター いぶきの田中です。先週末10月26~27日にかけて「上野原リトリート」という地域医療振興協会の初期・後期研修医合同の合宿勉強会があったため、その報告をします。


山梨県の東京都と神奈川県との県境に位置する人口25,000人の上野原市。その中核病院である上野原市立病院でおこなわれました。各研修病院の紹介やS2宮地先生による「振り返りセッション」、太田先生と吉村先生による「メンタルヘルスセッション」など盛り沢山な内容でした。

私と同期は「CGA(高齢者総合評価)セッション」を企画・担当しました。CGAを選んだ理由は、我々家庭医の強みを発揮できること、初期研修医が病棟業務で役立てるスキルであることの2つを満たしていたためです。長々と講義をしても眠くなるだけなので、実際に経験した事例をベースにシナリオを作り、研修医にロールプレイをしてもらいました。

1回目のロールプレイでは医師役(おもに研修医が演じる)は医療的な説明に終始しがちで医師と患者の意見は平行線のままでしたが、CGA(特に認知機能、ADL/IADL、支援状況などのベースラインの評価)のミニレクチャーを挟んだ2回目では、生活や家族の問題に議論の中心がシフトしていたことが印象的でした。我々のねらい・意図はなんとか伝わったようで、ひとまずホッとしています。

こうした取り組みに「それは医者の仕事ではない。ソーシャルワーカーやケアマネにやってもらえばいいじゃないか」という意見もあることは事実です。しかし現実的にはそうした介護・福祉サービスへ橋渡しをするのは医師の仕事です。患者の退院後の生活を想像できない医師は、そもそも橋をかけようと思わないでしょう。初期研修医時代の恩師である名郷先生が提唱する「地域医療実践のための5の軸」の中に

「患者や問題の種類により差別をしない」

という項目があります。実践するのは難しいですが、それって大事だよなと思いながら研修を続けています。

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