2015年8月17日月曜日

告知について

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シニアレジデント1年目山田恵梨子です。ブログの投稿が遅くなってしまいました。すいません。


東京北医療センター、総合内科に在籍して早いものでもう4ヶ月です!
最近自分の中で答えが見つかりにくい話題について記載してみようと思います。




主治医となって、任される仕事に”病状説明”があります。最近は少し慣れましたが、初めの頃は患者や多職種の方々の前で自分が中心となって話すのはとてもドキドキしました。


今でも事前に準備をしてなるべく説明・話し合いが滞りなく進むように努力しております。




主治医になって1ヵ月に重い仕事がのしかかってきました。
それが、”がんの告知”です。


初めて告知をした方はかなり体重減少が進行しておりご自身で気づかれている部分もあったとは思いますが、”あなたは癌です”と患者にどのように伝えればいいのか自分自身でかなり悩みました。


上級医の方にご協力いただきながら、どのように家族・患者に伝えるのか今回も事前準備をしました。


私の中で決めたのは以下のような内容


・事前にご家族に病状説明、ご本人がどのくらい受け止められる方か・話す内容としてはどのように話すのがご本人の負担にならないかをお聞きする


・末期患者であり、姑息的治療をするにしても手術が必要な患者であり告知をせずに治療を進めていくのは難しいことをお伝えする




そして以前参加した緩和ケア研修会で外科のDrから学んだことを生かすと・・・


・がんという言葉を繰り返さないようにする


・一度に情報量をたくさん与えないようにする


というのが事前準備に行った内容でした。




それを踏まえて、ご家族とお話ししたところ


・なるべくぎりぎりまでは伝えないでほしい


・治療によって食事が食べられる等前向きな話を前面に押し出してほしい


・今回はとりあえず告知はやめてほしい


・腫瘤に関してはがんの可能性もあるという伝え方にしてほしい


というのがご意見でした。


そのためすでに2度目の病状説明であったものの、その日は告知はせず、4日後に術前精査をしつつ告知を行うという方針になりました。




告知に関しては、上記の事前に決めていた内容を踏まえて告知。




翌日、翌々日はショックでふさぎ込んでいる様子も見られましたが
治療にあまり積極的でなかった患者も3日後には姑息的な手術を決断、外科転科となりました。




ご家族からも、目の前の治療に積極的になれてよかったとのお言葉を言われました。






告知で難しいのは、ご本人の意見・ご家族の意見をどれだけ取り入れるかです。
主治医としてかかわっているとはいえ、患者とかかわったのは数日~数週でしょう。
そのなかで患者が告知してほしいのか判断するのは難しく、どうしても家族に意見を求めてしまう部分があります。


その中で家族の意見に偏ってしまうと患者への告知なのに矛盾が生じてしまう・・・




その後も何度か告知の場面がありましたが、ひとりひとりこれでよかったのかといつも反省しています。




皆さんは告知をするときどのように気を付けられていますか?




この話題はススメの意見交換の場でも上級医・シニアの意見をお聞きしようと考えています。






東京北医療センター 総合内科 シニア1年 山田 恵梨子







2 コメント:

Unknown さんのコメント...

山田先生
湯沢町保健医療センター井上です。
主治医となって色々な場面を経験して、着実に成長されていますね!
癌の告知は一人一人の患者さんの色々な背景があるので、個別性が要求されて難しいところだと思います。これが正解というものがない以上、いつも振り返ってみることが必要だと思います。
我々のように地域で同じ患者さんと長く付き合っていても、その場面になるとどうしようかと悩みます。
ぜひポートフォリオに仕上げていただくか、Web振り返りの折にみんなで話し合ってみてください!

Unknown さんのコメント...

山田先生

月ヶ瀬の調です。
経験の振り返りをありがとうございます。
こういう話を共有することは、研修において大事なことです。

自分も癌の告知で思い悩んだことを思い出しました。
SPIKESという手法が有名ですが、それにのっとって型どおりにやったこともありました。
逆にギクシャクしてしまい、緩和ケアを熱心にやっていた指導医(同席していました)に生身の人間は型どおりできないよと指導されました。
この点で、指導医の同席は良かったですので、その後もよく呼んで同席していただき告知してフィードバックを頂いていました。

最近は、告知をするたびに、人によって感情反応が異なるということに気付かされています。僕自身はまだ未熟ですが、感情に配慮して受け止めることだけは何とか頑張ろうと考えています。

みなさんも経験されていると思うので、ぜひ振り返りなどで話してみてください。

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