業務内容は10月の呉先生の投稿を参照いただければと思います。
初期研修でもお世話になった東京北医療センターの小児科ですが、当時は研修はじまって間もなく、内科的知識もほとんどない中だったので、初期研修で取りこぼしていたこと、忘れてしまっていることを拾い集める日々です。また、午前中の業務をできるだけ早く終えて初診外来を診させていただくことができています。外来も経験することにより、入院適応を考えたり、退院後のフォローをしたりと、外来と病棟を連続性をもって診ることができています。
さて、最近印象に残った患者さんを一人紹介させていただきます。
食欲不振を主訴に、水も飲めなくなったため入院した小学校低学年の女の子でした。内科的精査後に、友人関係のトラブルを原因とする摂食障害と診断されました。飲水も食事も少しずつできてきたので1週間程度で退院できました。
彼女は大きな大会で優勝するくらいスポーツに打ち込んでいて、「大人びた真面目な少女」という印象でした。入院当初は「本当に入院したらかえって学校に行けなくなってしまうんではないか」「精査目的なのに胃カメラもしないのは入院した意味がないのでは?」などと疑問を感じていましたが、彼女にしてみれば食べられないことは両親や学校の先生に対する無意識の心のSOSだったのだと思います。退院の時には病院にも慣れて、病院の環境や関わってくださった心理士さんが彼女の心の避難所の役割を果たしたように思えました。
SOSに対して学校、家族、病院、全てが応えてくれた。今までわがままもあまり言わなかった彼女のわがままに周囲がサポートしてくれたことで、「1人じゃない、大丈夫」という彼女にとっての自身が生まれたように思います。入院することがADLや認知機能を下げることは高齢者でよく経験することでしたが、入院という非日常が、根本的な解決、治療につながったのは新鮮な経験でした。社会的な問題を抱える患者さんの環境を変えることは、小児だけではなくて高齢者の入院や施設入所でもメリットになることはありそうで、今後はそういった視点でも患者さんを見ることが大切と感じました。
なお、東京北の小児科は現在NICU増設に向けて工事中で、順調なら4月からオープン予定です。今まで以上に幅広い小児科研修が可能になりそうです。
4月からは井上先生のお膝元、湯沢町保健医療センターで研修を予定しています。3年間自分が身につけてきたものがどのくらい通用するのか、何が足りないのか、いよいよ実践できることを楽しみにするこのごろです。
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東京北医療センター 小児科外来
1 コメント:
児玉先生
湯沢町保健医療センター井上です。
お子さんのメンタルに対しての対応いろいろですね。入院という方法のメリット、デメリット、いろいろありますね。
なんとなく在宅というものを優先することが多いのですが、私自身は先生が書かれているように在宅、入院、施設、いろいろな選択肢をうまく組み合わせて使えることが大事だと思っています。
4月から湯沢でその辺りを学んでもらえるといいなと思っています。
楽しみにしています。
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