2015年5月18日月曜日

伊東市民病院内科研修中

S1小林聡史と申します。

自己紹介→長野県須坂市出身、新潟大学を卒業。伊東市民病院で初期研修を行い、そのまま内科でお世話になっています。

伊東市民病院は静岡県の東、伊豆半島の東側にある中規模病院で、周りに救急病院がないため伊東市とその周辺の地域の救急車を一手に引き受けています。
ネットで軽く調べると、平成23年度の救急台数が3022台。常勤医は約30名程度です。

ちなみに救急台数日本一(今は違うかもしれません)の湘南鎌倉総合病院は、2012年の救急台数が13458台、平成27年の常勤医は212名でした。(ネット調べ)
重症度が違うから一概に比較できないかもしれません(伊東は多発外傷や重症熱傷などの3次は基本診ません)が、当院の救急はやっぱり忙しい部類に入るんだろうなと思います。


そんな伊東市民病院での出来事を2点お届けします。


伊東市民病院は救急科立ち上げの最中で、今はまだ日中の救急を各科の医師が持ち回りで担当しています。私は週に2回日中の救急外来当番をしているんですが、この間は1時間に6台救急車が来ました。(自分一人じゃ無理と判断し、上にヘルプを頼みました)
心肺停止に肺炎にヘルペス脳炎(疑い)、ほかにも色々いらっしゃいました。救急対応中にも病棟から電話がかかってくるし、忙しすぎて思わず看護師さんと笑ってしまいました。そんな1日でした。


心房細動による出血性脳梗塞で入院中の方
出血も落ち着き、抗凝固薬も導入し、リハ病棟にうつる調整中の矢先、腹痛を訴えました。
お腹も軟らかいし、腹膜刺激症状もなく、そんな激痛という様子でもない。昼食も4割食べたし、その前に軟らかい便が多量に出たと。
でも心房細動があるからと思い、まずは単純腹部CT。上行~横行結腸がびまん性に拡張、上腸間膜動脈が上腸間膜静脈に比して1-2スライスだけ太い部分がありました。
そのころに採血の結果が一部出て、白血球28000台、乳酸40台。

やはり上腸間膜動脈塞栓症は否定できないと考えました。
ご家族に電話をし、口頭で同意を得て腹部造影CT撮影。
その際には「腹痛の原因を調べるために検査をしたい」ということだけ伝えました。
上腸間膜動脈塞栓が念頭にありましたが、ほかの重篤な病気というのも否定できない
→上腸間膜動脈塞栓症でした。
外科のdrとも相談し、手術は難しいだろうという返事をいただきました。

ご家族に電話をし、病院まで至急来院して頂きました。
その際には「先ほどの検査の説明をしたいので、すぐにいらして頂けますか?」とお話ししました。

ご家族が来院後、「厳しいお話をしなければいけません」と前置きをしてから話しました。
高齢で、PTが4台に延長していることなどから、オペは非常に厳しく、またオペを仮に乗り越えても短腸症候群になり一生点滴が必要になるかもしれないという旨のお話をしました。
ご家族から手術は希望せず、苦痛緩和のみとのお返事をお聞きしました。

モルヒネで緩和のみ行いその晩にお看取りとなりました。

いわゆるtelling bad newsの経験は何度かありますが、癌など慢性的な病気と違い急性発症の病気で、しかも良好な経過の最中であったこともあり、すごく気を使いました。
http://www.gi-cancer.net/gi/bnews/share.html(telling bad newsについて)
ご家族さんの受け入れは良好で、最期の場に立ち会うためにお孫さんに連絡を取るなどのセッティングもできました。

反省点としては、もう少し早い段階で心の準備をするための言葉をかけられたのではないかということです。
造影の同意書を取る段階では、上腸間膜動脈塞栓症という確信は持てなかったし、外科drと相談するまではどのくらい厳しい状態なのかというのもあいまいな理解でしたから、そのときに心の準備のための言葉をかけるのは難しかっただろうと思います。

その後病院へ来るように電話をするときに伝えるのが、本症例におけるベストタイミングではなかったかと思いました。


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1 コメント:

井上陽介 さんのコメント...

湯沢町保健医療センター井上です。
小林先生頑張っておられますね。慢性の経過でもBad Newsは伝えづらかったりするのに、急性の場合はさらに伝えにくいと思います。入院中の急変などの時にも非常に気を使うケースが多いのではないかと思います。
患者さんやご家族の気持ちを受け止めることと、丁寧にお話ししてあげることが大事だと思います。
今回の経験はきっと先生のこれからに生きてくると思います。

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