2020年6月12日金曜日

WEBで研修体感企画「研修医日記」(月刊地域医学2018年7月号より)

病院見学など直接現場を感じる機会が少なくなってしまった中、少しでも研修の雰囲気を感じて貰えれば、という思いから、WEBで研修体感企画として「研修医日記」の掲載を致します。地域医療振興協会が発行する情報誌、「月刊地域医学」のバックナンバーより、基本的に毎週火曜日、金曜日に掲載する予定です。
(※掲載の情報などは当時のものとなっております)


皆さんこんにちは.はじめまして,「地域医療のススメ」専攻医1 年目の田中 航と申します.市立奈良病院で初期研修を終え,この春から「地域医療のススメ」に参加させていただいております. 
後期研修が始まって最初の研修先は,いきなり診療所でした.現在私は「奈良市立都祁診療所」というところで研修しています.都祁診療所のある場所は奈良県の東部山間地域なのですが,診療所のすぐそばを名阪国道が通っていて奈良市内には車で40分程度と,アクセスは意外といいです.医師は私と所長である西村正大先生の2人,看護師さんは3人体制で日々診療を行っています.主な業務内容は朝と夜の外来診療・往診・学校健診・禁煙外来・予防接種などですが,初期研修医のころに経験したことのないものも多く,診療所に来たばかりの4月ごろは慣れるのに精一杯,というかやってる内容を理解するのが限界という感じでした.しかし,辛いということは全くと言っていいほどありませんでした.その理由は「やりたかったことだから」,これが大きいと思います.
都祁診療所外観.保健センターが併設されています.隣には薬局と歯科もあり地域連携に優れています.
 私は元々「地域医療に従事する医師になりたい」と中学生のころから思っていました.思ってからはまあ色んなことがありましたが,初期研修医のころに「地域医療のススメ」という家庭医・総合診療医の育成プログラムがあるのを知り,患者さんに正しい医療を提供できる一人前の家庭医になるにあたって必要な医学的知識・技術をしっかり身に付けたいと思い,事実そういった先輩医師が数多くいるこのプログラムに専攻を決めました.

外来1診.全部で3診あります.エコー,パソコンは最新型です.外からは良い風が入ります.

最初は総合病院からのスタートだと思っていたので,正直不安はありましたが,5月末になった現在,やっと慣れてきたかなと思い始めています.慣れてくると同時に,楽しさも覚えてきました.よく考えてみるとまさに 憧れていた分野で研修ができているわけで, 楽しくないわけがありません.禁煙外来で初回は「タバコがないと死ぬ」と言っていた人が2ヵ月後には「タバコを吸わないおかげでご飯が美味しい,死なんでよかった」と言ってくれたり,初めての一人往診で緊張しながら話す私に, 笑顔でお茶を出してもてなしてくださったり,外来で5分前に覚えたばかりの知識を活かす時があり,それがなんとうまく いってしまったりなど,診療所に来てまだ2ヵ月ですが印象に 残ったこと,嬉しかったことは多いです.

都祁診療所入口で撮ってもらいました

 もちろん,日々の業務の中でうまくいかなかったことや悲しかった出来事もあります.しかし,それも地域ならではの貴重な体験であることが多く勉強となります.さらに,毎日のようにその日の振り返りがあり,「地域医療のススメ」の先輩医師でもある西村先生や,専攻医3年目の佐々木貫太郎先生からフィードバックをいただき充実した日々を過ごしています.診療所の看護師さんや老健のメディカルスタッフの方々も非常に優しく,昼食のお弁当もおいしく,とても感謝していますが,ちょっと恵まれすぎなんじゃないかと少し怖いです. 後期研修が始まり早くも2ヵ月が経ちますが自分の未熟な面を実感する毎日です.これからも精進して立派な家庭医を目指していきたいです.ご指導・ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします.

近くには針テラスという大型の道の駅があります.温泉もついています.


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